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文献詳細

雑誌文献

臨床検査30巻4号

1986年04月発行

文献概要

研究

造血器系悪性腫瘍における骨髄中カルシウム,リン,銅および亜鉛量

著者: 小堀一二1 荒井正夫1 小林利次1 佐藤斉2 原武譲二2

所属機関: 1産業医科大学附属病院中央臨床検査部 2産業医科大学附属病院病院病理部

ページ範囲:P.413 - P.417

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はじめに
 カルシウム(Ca)は広汎な生体機能および細胞機能を営むうえで重要な役割を担っており,血清Caの変動は骨Ca代謝に大きな影響を及ぼすことが知られている.また,最近,生体内Ca代謝異常が種々の金属により引き起こされているという報告1)もあり,このため,血清および尿中の金属量とともに,Caをはじめとする骨中の金属量を測定する必要があると思われる.また,この骨中金属量と血清および尿中金属量とを対比させることは,例えばCaやリン(P)などの代謝異常によって現れる代謝性骨疾患の病態解析を行ううえにおいても,また,骨の金属代謝のメカニズムを知るうえにおいても大変に意義があるものと思われる.しかし,生体試料中の重金属分析は血液,尿などの体液成分を対象とした報告は多数見られるものの,臓器,組織などの試料に関する報告は比較的少なく,骨などの硬組織中金属の分析に至ってはきわめて少ない.これは,硬組織試料の乾燥方法,灰化方法などの試料の処理方法の問題点に加えて,共存成分の影響などの分析上の問題点があるためと思われる.そこで著者らは,分析結果の信頼度を高めるために,測定上問題となる骨試料の乾燥方法,灰化方法などに関する基礎的な検討を行って,良好な成績を得,また,これらの方法を用いて,今回成人T細胞白血病(ATL)を中心とした血液悪性腫瘍患者の骨髄中Ca,P,銅(Cu),亜鉛(Zn)を分析し,若干の知見を得たので報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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