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文献詳細

雑誌文献

臨床検査30巻7号

1986年07月発行

文献概要

今月の主題 抗核抗体 技術解説

抗非ヒストン核蛋白質抗体(抗ENA抗体)の検査

著者: 長島秀夫1 小出典男2

所属機関: 1岡山大学医学部第1内科 2岡山大学医学部附属病院中央検査部

ページ範囲:P.700 - P.705

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 膠原病は多彩な多臓器障害と免疫障害とを特徴とする全身炎症性疾患であり,その免疫障害は種々の自己成分と反応する自己抗体の出現をみることが特徴的である.膠原病の診断,病態把握,予後予測,治療法の選択にはこの自己抗体測定を欠くことができない.自己抗体の対応抗原には,1.細胞核抗原,2.細胞質抗原,3.凝固因子,4.赤血球表面抗原,5.その他の臓器特異的および非特異的抗原などが知られている.このうち細胞核抗原を対応抗原とする自己抗体を抗核抗体と呼び,多発性動脈炎を除く膠原病には種々の程度に検出され,特に全身性エリテマトーデス(SLE)や混合性結合組織病(MCTD)にはその検出は診断基準の一つでもあり,必発の自己抗体である.表1に示すように抗核抗体は多くの種類が知られている.
 細胞核には構成成分として,DNAや塩基性蛋白質であるヒストンのほかに,RNAに結合した蛋白質(リボヌクレオ蛋白質,ribonucleo protein;RNP),を含む酸性核蛋白質(nuclear acidicprotein antigen;NAPA)などの非ヒストン核蛋白質があり,これらはホモゲナイズした細胞核から等張食塩水で抽出しうる核抗原という意味から総称してextractable nuclear antigen(ENA)と一般に呼ばれている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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