文献詳細
文献概要
シリーズ・生体蛋白質の検査法・8
色素を用いる微量定量
著者: 中尾順子1 芝紀代子2
所属機関: 1東京女子医科大学生化学教室 2東京医科歯科大学医学部付属病院検査部
ページ範囲:P.877 - P.882
文献購入ページに移動微量の蛋白質を定量しようとして,バッファーなどにより測定値が変動して困ったというようなことは,誰でも一度は経験することだと思う.ことにLowry1)法の場合は単純にブランクを差し引くだけでは解決はできない,したがってカラムからの溶出液や,ショ糖密度勾配法で分画した材料などはしばしばその結果を混乱させる.私どももNa・K-ATPaseの精製の途中で必要に迫られて,バッファー,ショ糖などに影響されない色素とメンブレンフィルターを組み合わせた蛋白質の定量法を考案した(1973)2,3).色素はアミドブラックを用いたが,その後,感度の良い色素であるCoomassieブリリアントブルーG250(以下,CBB)を用いて溶液のまま定量できる方法をBradford4)が1976年に報告した.この方法は簡便で多数のサンプルを測定するのに適しているが,最大の欠点はブランクが高いことであるが,原法そのままでも,あるいは目的に応じて改良しても良し,十分に研究用として利用できるとし,すでに試薬として調製したものが,Bio-Rad社から発売されているので試薬の調製のための手間を省くことができるため便利である.ここではBradford法およびその変法について述べる.Bradfordが本法を発表してすでに10年を経過しており,細かい検討の結果を報告した論文も見かけられるようになってきた5).
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