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研究
各種疾患における血中PIVKA-II測定の意義
著者: 山下勉1 竹元久美子1 古川好美1 永野貞明1 三村幸一1 松岡瑛1
所属機関: 1兵庫医科大学病院中央臨床検査部
ページ範囲:P.895 - P.899
文献購入ページに移動ビタミンK依存性凝固因子と呼ばれる血液凝固因子第II(プロトロンビン),VII,XI,X因子は,肝臓で生成される際,その最終段階でアミノ末端近傍にあるグルタミン酸残基(Glu)がカルボキシル化反応を受けγ-カルボキシグルタミン酸残基(Gla)となって血中へ放出される.この反応にはビタミンKが必須要素であるが,ビタミンKが存在しない場合,またワーファリンなどのビタミンK拮抗剤が存在する場合は,カルシウム結合能を持たない異常蛋白PIVKA(protein induced vitamin K absence or antagonist)が血中へ放出されることが知られている1).ビタミンK依存性凝固因子の異常に基づく出血傾向は,古くより報告されている2).また,近年,広域抗菌スペクトラムを有するセフェム系抗生物質投与によるビタミンK依存性凝固因子の低下を原因とする出血傾向が指摘される3〜4)など,各種疾患におけるビタミンKの産生,利用障害などが問題となってきた.著者らは,ビタミンK依存性凝固因子の異常をPIVKA-IIを指標として各種疾患について検討し,血中PIVKA-IIの測定意義について考察した.
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