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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査31巻11号

1987年10月発行

雑誌目次

特集 生検の進歩

I 臓器別生検 i 組織診

1 心臓(心筋)

関口 守衛 , 佐藤 洋子 , 長尾 博明 , 小松 敬子

pp.1166-1175

はじめに

 心臓からの生検でまず考えられるのは心筋であるが,心筋の生検には今日,カテーテル式心内膜心筋生検法が広く行われている1〜10,14,15,17〜23).心筋生検の具的には,どのような心筋疾患かの種別診断と,心筋の状態を主として形態学的に把握するための病態診断との二つがある(表1)2).そこで特に後者の場合には,心臓外科手術時に心房または心室筋を採取して各種の分析をし,患者の病態や予後を知るのに役だてることになる.

 なお,心筋の生検のほかに弁や血管の生検も心臓,大血管手術やカテーテル検査時に行われて,やはり診断や病態の理解のために組織標本の観察が行われる.

 本稿では心内膜心筋生検法を中心として,生検組織の扱いかたや診断法,所見の読みかたなどについて実際的に解説する.

2 肺

北川 正信

pp.1176-1182

はじめに

 「肺生検(lung biopsy)」という表現は,広狭両様の意味で使われている.広義には気管支壁,肺実質—呼吸細気管支以遠の肺胞領域,さらには胸膜をも対象とする,肺という臓器に関する生検のすべてを包含するものであり,狭義には瀰漫性肺疾患の診断を主な目的とする肺実質の生検である.従来,前者の意味で呼ばれていた肺生検業務の中で,最近,経気管支肺生検(transbronchial lung biopsy;TBLB)がその比重を高めてきたために,後者の意味での使われかたがより一般的となってきている.これは気管支ファイバースコープの改良と普及とともに,難治性の瀰漫性肺疾患の増加ないしそれへの関心の高まりによってこの10年余りの間に生じてきた現象である.その意味では,本特集号の意図する「生検の進歩」の大きなものは,肺に関する限り病理側よりはむしろ臨床側にあったというべきで,ことに気管支ファイバースコープの開発・改良のために払われたわが国関係者の努力は,国際的にも高く評価されているところである.そこで病理側に求められる課題は,このようにして得られやすくなった気管支生検(bronchial biopsy;BB)の材料,あるいは肺組織の材料からどのようにしてよい顕微鏡標本を作り,より多くの情報を得るか,ということになる.

3 消化管

渡辺 英伸 , 小山 栄一 , 岩渕 幸雄

pp.1183-1190

はじめに

 生検(biopsy)とは,生体から採取した材料を顕微鏡的に検査し,診断を下すことである.広義の生検には細胞診,針生検,パンチ生検,手術材料や解剖材料の病理形態学的検査も含まれる.一般に消化管材料の生検では,内視鏡的採取材料の生検(endoscopic biopsy)〔鉗子生検(forceps biopsy),内視鏡的切除材料の生検(endoscopic resection biopsy)—内視鏡的ポリープ摘除材料の生検(endoscopic polypectomy biopsy)やstrip or jumbo biopsy〕1)と外科的切除材料の生検(surgical biopsy)とが主体を成す.

 生検では病理形態学,特に組織学的診断基準によって診断が下される.しかし,病変の組織学的診断基準はつねに絶対的なものであるとは限らず,既存のそれによって良性,悪性を判定しにくいこともある2).さらに,新しい臨床情報を導入することにより,既存の組織学的診断基準が変わる可能性も十分にありうる.炎症性腸疾患にあっては内科的治療や自然治癒で,病変の組織学的診断基準がすべて消失して,病変の肉眼的特徴(診断基準)のみが残存することもしばしばある3)

4 肝

志賀 淳治 , 伊藤 泰昭 , 寺野 彰

pp.1191-1196

採取法

1.針生検(needle biopsy)

 肝生検の方法には,開腹手術によってメスで組織を直接採取する方法(wedge biopsy)と,皮膚の外から中空の針を挿入して採取する針生検(needle biopsy)の2種類があるが,手術侵襲を加えずに行える針生検の価値は大きい.肝臓は人体最大の臓器であり,生検によって得られる部分は全体の数万分の1にすぎないであろうが,肝病変は比較的瀰漫性の変化が多いので,その利用価値は大きく歴史も古い.すでに1883年ごろには行われていたといわれるが,1920年代にはかなり実用化しており1),その原理も針に注射筒を接続し,陰圧により組織を吸い出すもので,今日行われているものとほぼ同じであった.

5 膵・胆

佐藤 博道 , 伊藤 慈秀 , 小林 敏成 , 光野 正人

pp.1197-1202

 膵・胆領域は解剖学的に従来生検が困難な臓器であったが,最近の目覚ましい画像診断法の進歩により,現在ではこれらの領域においても安全で正確な生検ができるようになってきた(図1;後出).本稿においては,これら生検法の特徴を述べるとともに,生検材料の病理検索上の注意点を解説する.

6 腎

重松 秀一

pp.1203-1207

はじめに

 腎疾患における臨床症状や経過は,種々の病態に共通して存在したり変動したりすることがあるので,疾患の分類には適当ではない.現在,腎糸球体疾患で広く受け入れられているのが,形態像を基本にした組織分類である.そのため腎臓病を専攻する内科医,小児科医は病理形態像に必然的に関心をもたざるをえず,病理医,臨床検査技師との間に形態学を中心にしたやりとりも多くみられることになる.腎生検は腎疾患の診断のみならず,治療の選択,予後の推測,経過の把握などそのもつ意義は大きい.経皮的腎生検法が1951年にIversenとBrunによって紹介され,また電子顕微鏡や免疫組織化学が一般的に生検材料に応用されるに従い,これらの手段をフルに利用して組織学的診断はより詳細になってきた.糸球体疾患の組織学的分類はChurg博士を中心とするWHOの共同研究班により1982年に全世界的に受け入れられる形のものにまでまとめあげられる段階になった1)

7 内分泌器官(下垂体,甲状腺,副腎)

木村 伯子

pp.1208-1215

はじめに

 下垂体,甲状腺,副腎はいずれも,組織発生を異にする下垂体前葉と後葉,甲状腺濾胞細胞と傍濾胞細胞,副腎皮質と髄質の組み合わせから成る臓器である.甲状腺濾胞と副腎皮質はその組織に固有のホルモンを産生するのに対し,その他の組織は神経内分泌組織(neuroendocrine tissue)として,多数の神経ペプチド,アミン,担体蛋白などを産生している.これらの発生を異にする組織が一つの臓器を構成していることの意義は必ずしも明確にはされていないが,ホルモンの産生,分泌の調節機構が明らかになるにつれて解明されるだろう.

 さて,生検におけるこれらの臓器の問題点としては,①腫瘍か非腫瘍か,②腺腫か過形成か,③良性か悪性か,④腫瘍マーカーの有無,などであろう.現時点で,これらの問題点が必ずしも形態学的に明確にされていないが,これは,増殖,変性,炎症という病態に,内分泌臓器の特徴であるホルモン産生という機能的な面が加わり,病像の解釈を複雑にしているためである.以下,各臓器別に上記のような問題点について触れていきたい.また限られた紙数であるので,腫瘍についてのみ述べたい.

8 神経

長嶋 和郎 , 井上 和秋

pp.1216-1221

はじめに

 神経系組織の生検で日常もっとも多いのは脳腫瘍である.未梢神経生検も内科的疾患の診断に重要であるが,紙数の都合上,詳細は他誌書を参照されたい.

 脳腫瘍診断は画像診断,ことにCTスキャン,MRIの導入できわめて容易となり,かつ画像判読も進み,ある程度の組織診断を含めた腫瘍の性状を推測することが可能となってきている.さらに病理組織診断も種々のマーカー蛋白を用いた免疫染色法のルーチン化により,いっそうきめ細かになってきている.腫瘍の組織像はその腫瘍の生物学的特徴をも示しており,組織所見により診断と分類がなされ,かつその所見に基づいた治療,予後調査・疫学統計が確立されてきている.しかし,あくまでもそれは腫瘍の診断であり,<腫瘍の原因>を解明するためには動物実験のみならず,最近の先端技術をヒト脳腫瘍研究にも導入し,腫瘍細胞のバイオロジー,特異蛋白の同定,特異的染色体変化の分析,特異遺伝子発現の研究などにも応用されなければならないであろう.そして,これらの研究に協力していくためには,再び,これらの研究の基礎となる,少量であっても確実な腫瘍部位での組織診断が重要となってくるのである.

9 リンパ節

栄本 忠昭

pp.1222-1228

 近年の免疫学の進歩はリンパ節—リンパ組織の理解を飛躍的に増大させたが,リンパ節病変はなお病理診断の中でもっとも困難な領域1)とされている.本稿ではわれわれの教室でのリンパ節検索法を中心に,最近の文献を参考にしながら,テクニックと結果解釈の要点をまとめてみたい.

10 骨髄

丹下 剛

pp.1229-1235

はじめに

 1929年にArinkinによって開発された骨髄穿刺法はその後,針生検法の導入,特に1971年のJamshidi針の開発を契機に,加速度的に普及してきた.今日では,臨床医が骨髄穿刺液の塗抹標本から読み取るミエログラム(骨髄有核細胞の分画)と,病理医のパラフィン切片標本による組織診断によって,血液疾患の診断がなされている.

 骨髄生検は簡便な穿刺法ですまされることが多いが,適時,針生検(狭義の骨髄生検)も併用されている.

11 骨・軟部組織

牛込 新一郎 , 石川 喜美男 , 林 湯都子 , 小野寺 憲治

pp.1236-1241

はじめに

 現在の医療における生検の意義については,いまさら強調するまでもない.正確な組織診断に到達するには,標本作製を担当する検査技師と診断を担当する病理医のレベルがつねに高いことが望ましい.骨・軟部の病変は,その組織診断に難渋することがまれでなく,現在においても,美麗とはほど遠い標本であるため適切な診断に到達できないことがある.病理医の適切な指導と,これにこたえる技師との日常の協力がないと,日進月歩の医療にはとうていこたえられない.

 骨組織の病変で確定診断の困難な場合には,生検が不適切に行われたか,脱灰操作に失敗したか,いずれかが原因となっていることがある.

12 乳腺

坂元 吾偉

pp.1242-1247

はじめに

 最近わが国においては乳腺疾患および乳腺生検に対する関心が高まってきているが,その背景には次のような状況が見られる.第一は,わが国における急激な乳癌頻度の上昇である.1985年の女性の部位別癌罹患率では乳癌は胃癌に次いで第2位であり,さらに10年以内の近い将来には乳癌は胃癌を抜いて女性の癌の第1位の罹患率を示すとの予測がなされていることから1),今後われわれが乳腺生検を扱う機会はますます多くなるものと思われる.次に,臨床的にはマンモグラフィーや超音波検査の画像診断の発達がある.画像診断の発達は,二つの点で乳腺生検に影響を及ぼしている.その一つは,触診上は腫瘤を触れない乳癌(To乳癌)の発見の指標を得たことで,組織学的確定診断のために乳腺の楔状切除生検が盛んに行われるようになったことである.もう一つは,画像診断の正診率の向上に伴って臨床的に乳癌を確診する例が増えたことによって,外来生検を省略して術中凍結迅速組織診断を行う機会が増えてきたことである.

 そこで本項では,特に模状切除生検と凍結迅速組織診断により多くの比重を置いて,乳腺生検の技術と解釈を述べてみたい.

13 子宮

坂本 穆彦

pp.1248-1252

採取法

 子宮の検体の採取法は,頸部と体部とで異なる.

14 卵巣

寺島 芳輝 , 小川 雅久 , 落合 和徳

pp.1253-1256

はじめに

 従来,産婦人科領域で生検といえば,その対象は子宮膣部,子宮頸部,子宮内膜,そして乳腺にほぼ限られていた.これは,子宮や乳腺における悪性腫瘍の好発部位が,生検を行いやすい部位にあるためである.逆にいえば,卵巣は腹腔内臓器であるがために生検を行いにくく,一般的とはいえなかった.しかし,不妊症領域などでは内視鏡が多用されるにつれ,卵巣に対する生検にも応用されるようになった.内視鏡を用いた生検材料は摘出して組織診に供するものに比べて,挫滅が多いことは否めないが,生体に対する侵襲が比較的少なく,将来,内視鏡は産婦人科医が必ず修得しなければならない手技の一つとなろう.このほか卵巣に対する生検材料採取法としては,従来から行われているように,開腹して卵巣を楔状に切除する方法がある(卵巣模状切除術).

 以下,内視鏡および模状切除による生検の適応と採取法の実際について述べ,さらに,生検材料の取り扱いにも言及することにする.

15 男性生殖器

藍沢 茂雄 , 古里 征国

pp.1257-1262

A.睾丸

生検の目的

 睾丸には二つの大きな役割,すなわち精子の形成と男性ホルモン分泌作用がある.精液検査および血清中各種ホルモンの定量などで確認のできない例では,睾丸の部分生検はそれらの状態を検査するよい方法である.男子不妊症患者の造精能力の判定,および男子性腺機能不全症に対し病因の診断,治療方針の決定,予後判定などを目的に行う1).左右差がなければ通常,片側で行うが,もし差があれば両側生検が原則である.停留睾丸では精細管内悪性胚細胞(intratubular malignant germ cells)に注意するが,一側に見られたときは対側の生検も行うほうがよい.腫瘍の疑われるときは部分生検は行わない.通常,除睾術そのものが生検として扱われて差し支えない2).かりに鞘膜を切離した段階で腫瘤が見つからないときに白膜を破り,実質を直視するか凍結切片による迅速診断を行うことは腫瘍散布の危険があり,やらないほうがよい.病期診断に鎖骨上リンパ節の生検を行うことがある2)

16 感染症

倉田 毅 , 佐多 徹太郎 , 佐藤 由子

pp.1263-1272

はじめに

 感染症領域の病理材料で,細菌,真菌,原虫などは,病原体そのものを通常の,あるいは特殊な染色により光顕レベルで見つけ出すことが可能である.しかし,ウイルス感染症では,ウイルス粒子が小さいこと(20〜1,500nm),細胞内のみでしか増殖しないことなどのために,光顕レベルでの検索はきわめて特殊な形態的変化を除いては不可能である.核内あるいは細胞質内に形成される封入体は特徴的変化の一つであるが,サイトメガロウイルスによる巨細胞以外は,いずれも鑑別診断が必要となる.鑑別のキーポイントは,ウイルスに特異的な抗原を細胞内に検出することであり,抗原抗体反応を原理とする染色法によらねばならない.従来の病理学領域で用いられている,いわゆる色素を用いての染色法で診断できるウイルス感染症は,まったく存在しない.治療法がない,血清反応の医療保険適用範囲が限られる,さらに微生物,特にウイルスに対する知識が全般的に不足している,等々の理由が重なって,ウイルス感染症の臨床ウイルス学的,またはウイルス病理学的診断が不十分のままの症例が数多く見られるのが現状である.

17 術中迅速診断

田代 征夫 , 入 久巳 , 山崎 晴久

pp.1273-1278

はじめに

 医学の進歩,特にME工学の進歩は,驚くべき正確さで微小癌の術前画像診断を可能にした.種々のME機器の組み合わせによって微小病巣の発見が容易になってくるとともに,術中に行われる凍結迅速切片診断(以下,迅速診断)はその重要性がますます認識され,今日,広く利用されるに至っている1〜3,14).外科的手術法が進歩・改良されるに伴って,単に病巣部を摘出するのみでなく,術中に治療方針の決定・予後を推測し,適切な判断が要求される症例が増加してきたのも,その一因である.したがって,迅速診断を通して病理側に要求されるのは,腫瘍の種類(組織型の決定ないしはその推測),悪性度,浸潤の程度(断端・剥離面への浸潤の有無など)である.その結果によって,術中に手術術式の変更,手術範囲の決定,術後の治療方針の決定がなされるわけである1〜3).その術中迅速診断の限界,正確度,適応性などに関する問題点について慶応義塾大学病院中央臨床検査部病理での経験例を中心に,検討を加えた結果を報告する.

I 臓器別生検 ii 細胞診

1 穿刺生検細胞診—1 肺

加藤 治文 , 伊藤 哲思 , 池田 徳彦 , 三浦 弘之 , 早田 義博

pp.1284-1290

はじめに

 肺の穿刺細胞診は,肺疾患の確定診断法として非常に価値の高い検査法である.肺癌の死亡率が急速に増加している現状では,治癒率の高い肺癌,すなわち早期の肺癌を見つけ出さなくてはならない.そのために,肺癌検診の重要性が以前から叫ばれ,本年から老人保健法に肺癌検診が取り入れられることになった.その検診は,胸部X線検査と喀痰細胞診検査の二本立で行われる.喀痰細胞診は中心型早期肺癌の発見のために,胸部X線検査は末梢型早期肺癌の発見のために有効であることは,周知のとおりである.しかし,これらの検査法に確定診断上の問題点が存在することも,例外ではない.

 肺癌の確定診断法には,内視鏡的な組織生検と細胞診,そして針穿刺細胞診があるが,それぞれに特色がある.病巣の生物学的動態に基づいて診断的時間,さらには経済面も考慮して,その適応検査法を選択しなければならない.せっかく早期と思われる症例が胸部X線写真上に発見されても,陰影が小さいためにX線透視下の内視鏡的検索の繰り返しによっても確定診断の得られないことがあり,そのためにdoctor's delayにつながることがある.針穿刺細胞診は,末梢の小型陰影でも高率に,しかも迅速に確定診断を得ることができるので,肺癌診断には欠かせない検査法である.また,癌のみならず最近増加しているAIDSによるカリニ肺炎の初期診断にも,穿刺細胞診は有効である.

1 穿刺生検細胞診—2 肝

和田 昭 , 山本 玲子

pp.1290-1297

はじめに

 超音波映像下に細径針を用いて行う肝穿刺吸引細胞診は,肝癌を診断することが主目的であるが,本稿では対象を原発性肝細胞癌(以下,肝癌)に限って述べてみたいと思う,画像診断技術の進歩により,最近ではきわめて小さな病巣の発見が可能となり,組織学的・細胞学的にその良・悪性の決定にきわめて高度の鑑別技術が要求されるようになってきた.そのため,細胞や組織の深い読みがいっそう要求されるわけであるが,これにはいかにきれいな標本を作製するかということが鍵となる.

 われわれは,細径針により採取された材料の処理方法にくふうを加え,組織標本を作製すると同時に,立体的な組織構築を平面的な細胞配列に置き換える方法を試み,これらの所見が肝癌の細胞学的診断にきわめて重要な意義をもつことを明らかにした1).以下にその標本作製法ならびに観察成績について述べる.

1 穿刺生検細胞診—3 甲状腺

島 寛人 , 加藤 一夫 , 高橋 正宜

pp.1297-1301

はじめに

 甲状腺腫における穿刺吸引細胞診(aspiration biopsy cytology;ABC)はSöderström (1952)1)以来,多くの施設で行われ,最近では,open biopsy, Vim—Silverman針によるneedle biopsyなど,従来の生検法に代わり,重要な形態学的診断法として広く普及するに至っている.それはすなわち,甲状腺が体表から容易に触知可能な実質性臓器であり,各種画像診断法の発展に伴う甲状腺腫の質的性状の把握が容易となったことに加え,合併症が少なく安全で,手技が簡便であり,なおかつ細胞診精度が向上してきたことなどによるものである.

 ABCの対象となる甲状腺疾患としては,癌,腺腫,嚢胞およびこれらの鑑別診断としての亜急性,慢性甲状腺炎などがあるが,実際においては,癌の診断における有用性が第一義的となろう.そこで本稿では,ABCの実際と,甲状腺癌,とりわけ乳頭癌,未分化癌およびそれらと鑑別を要する良性疾患とを対比させ,その判定基準となる細胞形態学的特徴について解説したい.

1 穿刺生検細胞診—4 乳腺

庵原 昭一

pp.1302-1308

はじめに

 乳腺の穿刺生検細胞診(aspiration biopsy cytology:以下ABCと略)はほとんどが,乳腺の触診において腫瘤または硬結が触れた場合に,その良性,悪性の鑑別に用いられている.

 患者自身が偶然にあるいは自己触診法の結果,乳腺の病変を疑って外来を訪れる場合が多く,外来医師の判断や指示で本ABCが行われる.しかし医師が患者の検索中や集団検診の結果,乳腺に病変を見いだして精検の対象となることや乳癌の手術目的として,その直前に近い日や,手術日直前に癌を確認するためにABCが行われる場合も多い.

1 穿刺生検細胞診—5 前立腺

矢谷 隆一 , 北本 正人 , 太田 昌親 , 高成 秀樹

pp.1308-1312

穿刺生検細胞診の方法

 一般的にFranzenの前立腺陰圧吸引器が用いられている.太さ22ゲージで,長さ20cmのステンレス製の穿刺針,外套管,吸引用注射器の三部から成っている.

 患者は麻酔の前処置なしで砕石位に固定され,直腸内から前立腺を触診,穿刺する部位が決められ,その部位が穿刺される.

2 癌集検と細胞像—1 老人保健法の展開

天神 美夫

pp.1313-1315

はじめに

 昭和57年度に老人保健法が制定され,この中に検診事業,いわゆるヘルス事業が組み込まれ,予防医学の分野に対し国が補助金対象としたため,新しく循環器疾患及びがん検診の一部に対する検診事業を発足させることになり,昭和58年2月より開始された.壮年期からの疾病予防と積極的な健康づくりを目指すこの事業は,第1次5ヶ年計画に基づいて実施され,地域住民及び市町村行政の中に着実に定着しつつあるが,昭和61年が最終年度となる.

 国は,これらの事業を発展させ,さらにその内容を充実させるため,昭和61年7月に公衆衛生審議会より具申された「保健事業の見直しに関する意見」をもとに,同年8月,第2次5ヶ年計画を公表している.第2次5ヶ年計画における健康診査については,新たに一般健康診査をかねる基本健康診査,及び従来からの胃がん・子宮がん検診のほかに,肺がん検診,乳がん検診を導入するとともに,子宮がん検診の充実のため子宮体がん検診が導入されることとなった.

2 癌集検と細胞像—2 肺癌の早期発見

坂井 英一 , 清水 哲雄

pp.1316-1319

はじめに

 肺癌の早期発見を目的として,厚生省がん助成金による研究班(池田,成毛)が発足して15年を経過した.本年4月から老人保健法による肺癌集検が可能となり,各地で行われつつある.

 肺癌は四つの組織型(扁平上皮癌,小細胞癌,腺癌,大細胞癌)があり,末梢型のもの(主として腺癌)は胸部X線像により発見しうる.肺門部早期癌の大部分は扁平上皮癌でX線所見が陰性の時期に細胞診により発見し,手術した群の予後は非常によい.このように扁平上皮癌をいかに効率よく発見することができるかを論じることが本論文の目的である.それで,喀痰細胞診の方法とその判定について述べる.

2 癌集検と細胞像—3 子宮体癌へのアプローチ

蔵本 博行 , 森沢 孝行

pp.1319-1322

はじめに

 わが国での子宮体癌が,対頸癌比で20%近いレベルに増加してきている.この傾向は,欧米ではさらに顕著で,50〜70%を占めるに至っているという.このような増加傾向に呼応して,老健法による子宮癌検診に,従来からの頸癌検診だけではなく,本年度からは体癌検診も加えられようとしている.まことに時宜を得たことといえる.

 上述したように,体癌は増加しているとはいえ,まだ欧米レベルではないことから,その検診方法は高危険グループ1)を選抜しての選択検診方式となると伝えられている.われわれの行った約11,000例から成る実地検診トライアル2〜4)などの結果から,その検診対象は,最近6か月以内に不正性器出血を訴えたことのある者で,

II 生検に応用できる技術

1 免疫組織化学—1 生検診断

堤 寛

pp.1330-1342

 免疫組織化学はすでに,広く全国的な規模で病理診断の分野に応用されてきている1).免疫組織化学が形態診断に不可欠である例の代表は,腎生検における蛍光抗体法であり,事実,以前は,この領域に限って保険点数が認められていた.現在では,保険点数の枠は広げられ,簡便な免疫染色用キットの普及と多種多様な抗体類の市販2)と相まって,腎以外の臓器・組織への応用が加速されたのである.

 本稿では,免疫組織化学を病理診断に応用する際の注意点,有用性および限界を,ホルマリン固定パラフィン切片を用いることを前提に,A.技術編,B.応用編に分けて,なるべく具体的に述べてみたい.

1 免疫組織化学—2 細胞診

長村 義之

pp.1343-1349

 近年,免疫組織化学的手法が病理組織検査に応用されており,パラフィン切片を中心に,①ホルモン,②血清蛋白,③免疫グロブリン,④腫瘍マーカー,⑤病原体,など多岐にわたる抗原の観察が行われてきている.また,モノクローナル抗体の活用も盛んに行われており,凍結切片を使用することによってのみ検出可能な抗原(例えばLeu,OCTシリーズ)も知られている.これらの抗原は,実際の病理診断において①確定診断への応用(腫瘍か否か),②腫瘍などの細分化への応用—上皮性か非上皮性か,③腫瘍の機能診断への応用—ホルモン産生,④腫瘍の予後,治療効果判定への応用,などに利用され,さらに個々に用いられるべき抗原,いわゆる<マーカー>も判明している.

 細胞診においても,最近,種々の検体を対象に,免疫組織化学的手法により観察が行われ,実際の診断に応用されてきている.これまでにスメアにおける染色手技は,光顕・電顕的にも確立されており,種々の抗原が安定して検出されている.ここでは,これまでにわれわれが確立した,細胞診検体を対象にした染色法を取り上げ,次に実際の検出の可能な抗原,およびその診断面への応用を述べてみたい.

1 免疫組織化学—3 免疫電顕法

和泉 伸一 , 中根 一穂

pp.1350-1354

免疫電顕の理論

 免疫組織細胞化学は,組織細胞内外に抗原性を有する特定の物質を抗原抗体反応に利用することにより,組織細胞内外における分布局在を知る技法である.特定の抗原物質は,電子顕微鏡(電顕)を使用すればどのような細胞の細胞内小器官に局在するか,あるいは,どのような細胞の細胞表面にどのように分布するかなどの観察が可能で,その細胞の機能状態がある程度把握できる.免疫電顕の原理と方法は,基本的には光学顕微鏡(光顕)的免疫組織化学に準ずる.すなわち,①抗原物質の不動化と組織細胞構築の保持,②抗原抗体反応が基本であるが,さらに電顕的免疫組織細胞化学(免疫電顕)に特別な③電顕観察のための処理が必要である.抗体の標識など原理と技法の詳細な解説は成書など1,2)に譲り,ここでは免疫電顕に関する注意点を述べる.

2 顕微蛍光測光法

芦原 司 , 糸井 啓純 , 浦田 洋二 , 小西 英一 , 蒲池 正浩 , 土橋 康成 , 島田 信男

pp.1355-1362

はじめに

 細胞測光法(Cytometry)1〜7)は,細胞内生理活性物質の蛍光測光による超高感度定量法として,医学・生物学研究で近年発達してきている.この細胞機能解析法は,核DNA定量に基づく細胞動態解析法を中心に多用され,今日の生命科学における必須の先端技術の一つとなっている.この定量的細胞化学とも呼べる技術は,落射蛍光顕微鏡を基にした手法1,4〜7)と,毛細ガラス管中に流す蛍光染色細胞を高速・自動測光するフロー・サイトメトリー(Flow Cytometry)1〜3)に大別されるが,本稿では細胞形態情報を用いた広い解析応用性を持つ,前者の落射型顕微蛍光測光法に関して,生検などの生体組織への応用について述べる.

3 フローサイトメトリー

高橋 学 , 佐々木 功典 , 村上 知之

pp.1363-1368

はじめに

 多様性に富んだ細胞集団の特徴を正確に把握するには,多数の細胞(数千〜数万個)の測定が必要である.個々の細胞の測定が正確であろうとも,数百個の細胞を測定して得られる細胞分布は,徳川時代の日本地図のようなものである.ランドサットの時代には通用しない.DNAヒストグラムにおいて,棒グラフの幅が広くては,異常なDNA量をもつ細胞も正常の細胞と区別できないし,分割を細かくすると,一つの棒グラフに属する細胞数が減り,ヒストグラムは安定しない.測定精度と測定速度を同時に飛躍的に向上させるには,フローサイトメトリー(FCM)の技術を活用するのがよい.

 FCMは,蛍光色素で染めた細胞を高速度で流し,細い光束を当てて,各個細胞内の物質を測定する技術である.毎秒数千個(高精度の測定には毎秒千個以下)の細胞を測定して電子計算機に入力するとともに,ヒストグラムを描き,あるいは複数個のパラメーター(例えばDNA量とRNA量)を測定し,その測定値(例えばDNA量とRNA量の測定値)に基づいて細胞を二次元座標上にプロットし,細胞集団の形態をリアルタイムで表示することも可能とした.その意味において,フローサイトメータ9は<細胞データの電算機入力装置>であり,<細胞集団顕微鏡>である.

4 高性能画像解析法—画像解析装置の開発と応用

吉見 直己 , 日野 晃紹 , 鬼束 惇義 , 高橋 正宜

pp.1369-1376

はじめに

 生物医学の研究分野において画像解析は主に細胞学的および組織学的応用に使われてきた1,2).特に病理学の分野では細胞,組織の形態を追求する面において,画像解析の応用に最適な分野である.とりわけ病理診断の良性・悪性の判別は,病理医の豊富な経験に基づく主観的判断によってなされており,時に異なった診断のもたらされるおそれもある.そのため,病理学に定量性が求められてきており3),最近では悪性細胞分別パターンの定量的評価の一つとして,細胞核DNA量の測定は生検材料でのルーチンの診断にも利用されている4)

 こうした核DNA量測定を含めた病理学的定量的検索法は,現在,方法論的に主に二つに大別される.第一の方法は,フローサイトメトリー(flow cytometry:FCM)による方式であり(本号の別項参照;1363頁),第二の方法は顕微鏡を介する画像解析法で,特にDNA定量には顕微測光法が従来から用いられている.現在,顕微鏡測光法は可視光吸光測光法から,特異性に優れた蛍光測光法が主流となっている(別項参照:1355頁).この二つの方法を比べれば,精度,スピードなどの実用性の面からFCMのほうがやや勝っているようである.しかし,電子工学の発展,特に記憶素子の分野の発展は膨大な画像データの記録に関して飛躍的進歩を保証し,画像解析は精度,スピード面においてもFCMと同等の力を有するようになってきた.

5 癌遺伝子—1 ウイルス誘発腫瘍と癌遺伝子

松田 道行 , 椙村 春彦 , 保井 孝太郎 , 浦野 順文

pp.1377-1383

はじめに

 最近の癌研究の飛躍的進展が,分子生物学の発達と,その技術を駆使した,腫瘍ウイルスの研究に端を発していることは,あらためていうまでもない.しかし,実験動物においてこそ,ウイルスにより引き起こされる腫瘍は数多く知られているが,ヒトにおいてはウイルスの関連が明らかな腫瘍はごく少数である.実際にヒト腫瘍の発生にはウイルスはあまり関与していないかもしれないが,これまでの抗原抗体反応を用いてのウイルス検索方法ではウイルスを見逃してきた可能性もあると思われる.

 本項ではまず,現在,ヒトの腫瘍に関連すると想定されているウイルスと,その腫瘍誘発のメカニズムについて簡単に紹介し,次に本項の主題であるDNAプローブを用いて,生検材料,手術材料にどのようなアプローチができるかについて述べたい.

5 癌遺伝子—2 肝癌と癌遺伝子

樋野 興夫

pp.1383-1388

はじめに

 本特集における私に与えられたテーマは,「肝細胞癌(以下,肝癌)の生検材料を用いた癌遣伝子のDNAプローブによる分子生物学的検索」であろうと考える.しかし,生検という少量の材料の制約性と,診断学への有用性という観点から,「肝癌と癌遺伝子」という研究は,あまり実際的ではないものと考えられる.そこで,本稿では,技術の応用性の面をかんがみ,私自身の研究テーマである「B型肝炎ウイルス(HBV)によるヒト肝癌発生機構の分子病理学的研究」の一環として実際に行った,肝生検材料を用いたHBV DNAプローブによる分子生物学的手法のいくつかを述べてみたい.

 そもそも,肝癌を起こす原因は,疫学的にいくつか知られている.例えば,カビ毒の一種であるアフラトキシン(化学発癌),戦時中に使用された造影剤であるトロトラスト(放射線発癌),肝炎ウイルス(B型肝炎,現在不明であるが非A非B肝炎;ウイルス発癌)とまったく異なる因子によって同じような肝癌が発生するのである.癌発生の道程は「分け登る麓の道は多けれど同じ高嶺の月を見るかな」といったところである.最近,この多段階発癌の概念が,いわゆる癌遺伝子の発見によって遺伝子レベルで具体的に考えられるようになった.これは,癌研究における大きな進歩である.

5 癌遺伝子—3 染色体と癌遺伝子

杉山 武敏 , 前田 盛 , 北沢 荘平

pp.1389-1393

はじめに

 染色体研究が癌の研究の中で大きな位置を占めるようになったのは,1980年以降のことである.1970年前後の染色体分染法の開発は,癌細胞の染色体構成の科学的解析を初めて可能にした.一方,染色体の研究は顕微鏡形態学の世界であり,遺伝子とは程遠い世界であったが,姉妹染色分体交換やin situ hybridization(分子雑種法)の導入,あるいは癌遺伝子研究で分子の世界と連結した1〜3)

 遺伝子解析法の進歩により,哺乳類細胞のDNAにもRNA腫瘍ウイルスの造腫瘍遺伝子と塩基配列の相同な遺伝子,細胞性癌遺伝子c-oncの存在することが示された.癌の染色体異常の意味については,Burkittリンパ腫のt(8;14)転座切断端に癌遺伝子c-myc,IgHの遺伝子が存在し,この異常がc-oncの発現に関与していることが証明され,染色体と細胞癌化の分子機序が完全に連結した.

6 癌と増殖因子(EGF,TGF)

田原 榮一

pp.1394-1400

はじめに

 癌のもっとも特異的な性質の一つである自律性の無限増殖には,癌細胞から産生される増殖因子(growthfactor)・レセプター系が関与しており,特に,癌細胞みずから増殖因子を産出し,同時に,そのレセプターを介してそれに応答するという"autocrine"システムの存在が論じられている1).そして,癌細胞から産出される増殖因子としては,TGF(transforming growthfactor)をはじめとして種々のものが見いだされているが(表1),現在のところ癌細胞にのみ特異的なものはない.また,すべての癌細胞に共通のものも明らかにされていない.さらに,興味ある点は,増殖因子・レセプター,そのシグナル伝達系と癌遺伝子産物との間に構造的ならびに機能的相同性があることである(表2)2).そのうえ,増殖因子は,癌遺伝子産物の生物学的活性,あるいは癌遺伝子の発現を調節している.例えば,EGFは,ras p 21およびポリオーマmiddle T蛋白のリン酸化や,ras p 21のGTP結合能を充進させる2).また,PDGF,FGFおよびEGFはmycおよびfosmRNAの発現を亢進させ,一方,ras,mos,fes,fms,およびablの過剰発現は,TGFαおよびTGFβの産出,あるいは分泌を増加させる.また,TGFβは,sisの発現をも誘発する3,4)

7 ヌードマウス

上山 義人

pp.1401-1405

はじめに

 ヌードマウスは1961年に英国,グラスゴーにあるRuchill病院のDr. Gristとその実験助手のMiss. Mcllelandによって発見された無毛,無胸腺のマウスである.胸腺免疫系を欠如しているため免疫学の研究に広く用いられているが,同時にヒトの腫瘍の移植が可能なことから,その方向の研究にも広く用いられている.特に,移植されたヒト腫瘍はその組織形態のみならず,その機能をもよく維持するため,ヒトの腫瘍随伴症候群の研究にはなくてはならない手段である.

8 培養システム—細胞培養の基本的手技を中心として

奥村 秀夫

pp.1406-1412

はじめに

 <培養>システムには大別して,①in vivo,②invitro,③in vivo-in vitroジョイント,の3種類がある.これらのシステムにはそれぞれ特徴があって,①invivoシステムは主に移植実験やチェンバー埋め込み法,②in vitroは通常の培養,すなわち細胞,組織,器官あるいは臓器,個体の各レベルでの材料を人為的環境下で生かす方法,③in vivo-in vitroジョイントは最近普及し始めた方法で,特殊な治療分野で用いられている.以上のように<培養>は非常に広い範囲で利用され,現在は<生きもの>を対象にした検査,研究の分野で不可欠であり,今後ますますその有益性が高まるに違いない.

 ここでは,臨床検査にも深い関係をもち,培養システムの中でもっともよく利用されている"in vitro"システムについて解説する.

カラー図

pp.1160-1164

 〔カラー図の見かた〕以下のカラー写真(図1〜23)は,本論中から抜き出して「カラー図」として構成したものです.図1〜4は本論のI-i−6(1203〜1207頁;重松論文)に,図5はI-ii−2-[2](1316〜1319頁:坂井・他論文)に,図6〜17はII−1-[2](1343〜1349頁;長村論文)に,図18〜23はII−2(1355〜1362頁;芦原・他論文)に,それぞれ対応します.

こぼれ話

生検の役割 フリーアクセス

田原 榮一

pp.1182

 Necropsy(屍検)に対立するBiopsy(生検)の言葉の由来は,ギリシャ語であって,Bio(life,living)とops([eye]sight)とから構成されたものである.

 生検は,生体の細胞組織や臓器から材料を採取し,病理組織学的,免疫組織化学的,電顕的,時には生化学的,内分泌学的に検索して,病気の本体を診断することにあり,また,予後あるいは治療判定にも利用される.したがって,臨床的に,理学的,放射線学的,血清学的,医工学的に得られた病気の虚像あるいは機能相は,生検によって,その実像あるいは形態像を実証することができるのである.方法論的には,穿刺針を用いてのNeedle biopsyやAspiration biopsy,外科的あるいは内視鏡的に得られた小切片についてのSurgical biopsyあるいはEndoscopic biopsyなどがある.前者では,主に肝疾患(肝炎,肝硬変症,脂肪肝,肝癌,胆汁うっ滞),腎疾患(腎炎,ネフローゼ疾患群),造血系疾患および関節疾患などの鑑別診断のために行われ,後者では,上部気道および肺,消化管,肝,膀胱,前立腺,子宮,乳腺,甲状腺,皮膚,リンパ節などの炎症性あるいは腫瘍性病変の鑑別診断や癌の確証,アミロイドなどの変性疾患の証明などのために行われてきた.

癌研の凍結迅速組織診 フリーアクセス

坂元 吾偉

pp.1196

 私が癌研究所病理部に来てから今年はちょうど20年目にあたる.この20年の間に凍結迅速組織診(フローズンまたはゲフリールと呼んでいる)もだいぶ変わってきたようである.

 癌研では昔からゲフリールを非常に重要視していたように思われる.例えば昭和30年代にはすでに,病理の部屋で鏡検している凍結迅速標本の組織像が手術室の白黒の20インチテレビに映し出される装置が開発され設置されていた.これはわが国における第1号機であり,このテレビは数年にわたって使用されていたとのことである.

先入観と習慣 フリーアクセス

中根 一穂

pp.1215

 ここ数年,なんとかして光顕資料を電顕で観察できるようにしようと努力している.その結果,組織切片をガラススライドに貼り付け,これを走査型電子顕微鏡による反射電子を利用して観察する方法を開発した.

 研究の初期に,電顕用にエポンやメタクリレートなどの樹脂に包埋された組織を2〜3ミクロンの切片にし,それをガラススライドに貼り付け重金属で染色して,切片の表面を電子ビームで走査することにした.この手法に教室員は反対しなかったが,パラフィン切片の観察には全員が反対した.パラフィンに電子ビームを直接照射すれば,パラフィンが蒸発して走査型電子顕微鏡を台なしにしてしまうと考えたからである.そこで脱パラフィンすることにしたが,脱パラフィンして乾燥させると,組織にひびが入ったり縮んだりしてばらばらになり役にたたなかったので,ある週末ひそかに脱パラフィンしないでそのまま電子ビームを照射してみた.その後,分解能等を検査しても異常がなかったので,パラフィンが電子ビームで蒸発するというのは教室員の先入観であると言い,皆の前で威張ってパラフィン切片に電子ビームを照射してみせたのである.

生検に伴う危険 フリーアクセス

坂井 英一

pp.1235

 昭和39年以降,坪井武擦過細胞診により,末梢病巣の診断を行っていた.肺癌例では,細胞診のみで十分組織型を推定しえ,診療上役に立つものであった.しかし,細胞診陰性は,何の病変なのか不明であった,それで,坪井式鋭匙で採取した小片をホルマリンに入れ,病理診断をお願いした.S先生(現旭川医大学長)などは小さすぎて診断は困難であると言われ,胃生検程度のものが採取できないのかと言われた.

 それで,坪井先生などにお願いし,上葉も容易に採取しうる二重屈曲の鋭匙や鉗子を作製していただき,肺癌のみでなく肺結核や珪肺症にも試みた.TBLBのはしりであった.その成績を臨床細胞学会や胸部疾患学会に発表した.

基本を大切にする気持ち フリーアクセス

牛込 新一郎

pp.1247

 現代医療の中にあって<生検>の果たす役割については,今さら強調するまでもない.臨床医学の専門化,細分化が進むに従って,病理でも大いにその影響を受けている.臨床各科の現場からは,迅速で正確な病理診断を常に求められている.

 生検の対象となる病気はさまざまであろうが,日常,良性病変か悪性かを確かめる目的で検査されることが多い.

病理医の現場から フリーアクセス

杉山 武敏

pp.1262

 われわれが病理学教室に入った昭和32年頃には,まだ生検・手術摘出材料の病理組織検査の特別の設備もなく,外科など臨床講座か病理学教室で私的に処理する以外に方法はなかった.2〜3年後,中央検査部(中検)の誕生とともに病理検査科が発足した.以来二十数年,気がつくと,内視鏡の発達,病理診断基準充足の必要性などから生検は膨大な業務量になっていた.生化学検査・映像検査が総がかりで推定する病名をわずか1回の組織検査で最終断定する病理診断の重みと,経済性を医療関係者はもっと重視してほしいものである.

 200〜300ベッド以上の病院でも病理医を置かず,あるいは定員を十分にとっていない病院が多い.このような病院に認定病理医が命がけで奉仕する<不見識>を,ぼつぼつやめたらどうかとさえ考えるときがある.諸外国を見ると,わが国の病理学が業務に比べて最も定員が少ない.病理医の悩みは,仕事が多いことではない.限られた定員で専門分化の進んだ臨床各分野に対して満足な対応ができない点である.病理側の努力にもかかわらず臨床側に不満の声が絶えない現状が,このことを如実に示している.

病理医が望む優秀な検査技師 フリーアクセス

矢谷 隆一

pp.1272

 術中診断や細胞診が盛んになるに従って,検査技師と病理医はより親密になり,お互いに信頼し合わなければならないが,時として,しっくりいかないことがある.日常感じていることを記し,自分自身の反省点にもしたいと思う.

 病理医が診断の難しい組織診症例に遭遇したとき,時として標本のできの悪いことを診断のできない理由にすることがある.確かに標本の隅にわずかに癌組織らしいものが見られるが,挫滅していたり,染色が簿かったりするとそのような気持ちになる.自分の力を棚に上げ,標本が悪いから診断できないと臨床医に報告している病理医のことを,その標本を作製した検査技師がどう思って聞いているのだろうか.いかに気心が知れた間柄であっても,いい気持ちはしないだろう.もし標本が悪いのであれば,その理由を具体的に伝えるべきであろう.すなわち,挫滅が強いのであれば臨床医に採取方法を考えてもらい,染色が悪いときには技師が配慮し,病理医の診断技術が未熟の場合はそれ相応の対応が必要ということだろう.信頼関係が第一ということをよくわきまえていることが重要である.

初心忘るべからず フリーアクセス

藍沢 茂雄

pp.1354

 30年近く前のことになるが,私が病理学教室に入って初めての年のことである.

 たまたま,後腹膜の腫瘍で死亡された男性の病理解剖をさせていただくことになった.それは広汎に後腹膜を占拠する出血,壊死の強い腫瘍で,多数の肺転移もあった.型どおり剖検を終わり,顕微鏡標本を作り,検鏡した.当時,新人の1年目には将来研究室を主宰するときのために,自分自身で標本を作るのが常であった.ところが,その腫瘍が男性にあるまじき絨毛癌とそっくりの像を呈しているではないか.学生時代あまり真剣に勉強しなかったせいばかりではなく,自己弁護をすれば男性に絨毛癌ができるなどということは教科書には載っていなかった時代なのである.

糸球体のない腎生検 フリーアクセス

重松 秀一

pp.1368

 腎生検は一部は尿細管や間質の病変を知る目的でなされるとしても,臨床医からの大部分の要望は糸球体障害の存在の有無とその程度を知ることである.したがって,光顕用に染めあがってきた腎生検標本を見るとき,糸球体の数が多ければ多いほど,われわれ病理医はより信頼性の高い組織診断ができるとありがたがる.糸球体は1個でも診断がつくアミロイドージスや膜性腎炎などの例もあるが,まったく糸球体がないとなると結果的に病理医の存在価値はきわめて低いものになってしまう.そんな実態は頻回では困るが,ないわけではない.

 現在,腎生検は3種の神器ならぬ三つの処理法が広く行われているので,光顕用のブロックを全部切っても標本に糸球体がないとなると,電顕用,蛍光抗体用の材料に期待をかける.電顕用のエポン包埋標本のほうに糸球体があれば,トルイジンブルー染色でも十分な情報が得られる.凍結させた標本をクリオスタットで切ったあとの残りの腎組織を解凍後固定して光顕標本にしても,ある程度の判定は下せるものである.

わだい

レジオネラ症の肺病変

斎藤 厚

pp.1202

 Legionella pneumophilaを代表とするグラム陰性桿菌による感染症であるレジオネラ症は肺炎を主徴とし,その肺病理組織学的所見はひと口でいえば,急性線維素性化膿性気管支肺炎に代表される像である.

 大気中に浮遊する本菌群を経気道的に肺内へ吸入することで,細菌性肺炎として発症するわけであるが,胸部X線写真から見た罹患部位は両側下肺野にやや多く,2葉以上にまたがる急性肺炎像で,境界不鮮明な均等陰影を呈するものが多い1,2).その他,経過の速いものでは気管支空気像(air bronchogram)を伴った大葉性肺炎像を呈する症例もある.また,左右どちらかに胸水貯留を伴う頻度が高い.

悪性リンパ腫の分類と問題点

本告 匡 , 須知 泰山

pp.1279

 悪性リンパ腫は,免疫担当組織(リンパ組織)を母地として発生する腫瘍の総称である.一般に腫瘍の分類は,細胞の由来,性格を的確に表現し,自然歴や治療に対する反応性および予後の推定など臨床上有用であり,かつ理解しやすく簡便なものが理想である.最近,急速に発達したモノクローナル抗体による免疫細胞化学や遺伝子解析など,細胞性格の新しい検索方法が次々と開発されており,今後,詳細なデータが集積され,遠からずより有用な分類が立案されるものと期待されるが,本稿では,現時点においてわが国で広く使用されている悪性リンパ腫の分類(Hodgkin病:Rye分類,非Hodgkinリンパ腫:LSG分類)の要点と問題点について解説する.

細胞骨格と病理診断

向井 万起男

pp.1280

 光顕的および電顕的観察によって,細胞質内には細胞内小器官,限界膜といった構造のほかに線維成分(fibrous system)が存在することが従来から知られていたが,最近の生化学的および電顕的研究などによって,このsystemとして3種のものが明らかとなってきている.すなわち,microfilaments(マイクロフィラメント),microtubules(微小管),intermediate filaments(中間径フィラメント)がそれであり,これらをまとめて「細胞骨格」という名称が幅広く使われるようになっている.この分野での研究は主として生物学,生化学の分野で目覚ましい進歩を遂げてきたが,病理診断の分野においても最近では活発な応用がなされて注具を集めている.これらの3種の系に属する蛋白に対する抗体を用いた免疫組織化学的手法による病理診断である.

腫瘍倍加時間と細胞像

森谷 浩史 , 木村 和衛

pp.1281

 臨床において悪性腫瘍の患者と接する場合,時間はきわめて重要な因子である.時間の経過とともに腫瘤が生長し,病態が進行していくことは一般常識でもある.しかし,その進行速度は症例によっても著しく異なる.原発性肺癌の場合も,きわめて進行速度の速いものから,数年にわたって腫瘍の大きさが変わらないものまで存在する.腫瘍倍加時間(tumor doublingtime;D1)は,このような腫瘍の発育を表す一指標である.筆者らは1984年から肺癌,特に肺腺癌のD1,を測定し,二,三の検討を行っている1,2)

フローサイトメトリーと造血・リンパ組織診断

中原 一彦

pp.1323

 白血病や悪性リンパ腫などの造血・リンパ組織診断は,以前より形態学的な診断が中心を成しており,今でもその傾向に変わりはない.しかしながら,形態学のみでは診断に非常に困難を感ずる場合がしばしばある.そのような場合に大きな威力を発揮するのが,近年急速な発展を示してきた免疫学的手段を用いた方法である.とりわけ,KöhlerとMilsteinによって開発された細胞融合法によるモノクローナル抗体の開発は,非常に純粋な抗体を大量に得られるという点で,免疫学の発展に多大な貢献をなしたことは周知である.

 現在では,ヒトの血球と反応する多くのモノクローナル抗体が市販されている.しかしながら,いろいろなメーカーから同じような種類の抗体が発売されているため,世界的にもそれらを統一しようとする方向にあり,国際ワークショップHuman LeukocyteDifferentiation Antigensにおいて,CD (clusters ofdifferentiation)ナンバーで同じような抗体をまとめる努力がなされている1).最近ではCDナンバーが付されたものについては,これで呼ぶことが多い.

急性白血病のFAB分類

厨 信一郎

pp.1324-1325

 1976年,仏・米・英の血液専門家グループ(French-American-British Co-operative Group)によって急性白血病(AL)の新しい分類法が提唱され1),そのグループ名に基づき「FAB分類」と呼ばれている.最近この分類法が臨床血液学分野で日常的に用いられるようになった.本分類は,それまで血液専門家間で多少のずれのあったALの病型診断基準を統一し,国際的に共通したALの研究基盤を確立するために提唱されたもので,病型診断に際しては主として末梢血および骨髄塗抹普通染色,および一般的に行われている数種類の細胞化学が用いられる.したがって,一部の病型を除いてはどこの施設でも客観的かつ容易にALの病型を決定しうる利点がある.FABグループは1982年には骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome;MDS)についても分類法を提唱している2).本稿では紙数の都合もあり,ALのFAB分類に絞って述べるが,MDSはALにきわめて近い疾患群であり,MDSからALへ移行する症例もしばしば見られるのでMDSのFAB分類についても併せて文献を読むことをお勧めする.

 FAB分類においてもALをリンパ性(ALL)と非リンパ性(ANLL)とに大別することは従来の分類と変わりがない.FAB分類では,ALLはL1〜L3の3型に,ANLLは,1976年の初発論文1)ではM1〜M6の7型(M5はa,b2型)に分類されていたが,1985年にM7が追加され3)現在は8型に分類されている.以下,各病型を概説する.

生検に適切なin situ hybridization

小路 武彦 , 中根 一穂

pp.1325-1326

 従来,一般ならびに特殊組織化学的染色による臨床検査結果に基づいて種々の診断がなされてきたが,その精度は酵素組織化学的染色法ならびに免疫組織化学的染色法の導入によって飛躍的に向上した.それは,特定の酵素活性や既知の抗原といったように,検査の対象とする物質的基盤が明確になったからである.本稿では,対象とする物質を特定の塩基配列を有すDNA,RNAといった核酸分子にまで広げる方法論であるin situ hybridization(ISH)法を紹介する.

 ISH法とは,既知の塩基配列を持つ核酸分子をプローブとして用い,それと相補的な塩基配列を持つ核酸分子の発現・局在を細胞個々のレベルで検討していこう,という新しい組織化学的方法論である.この方法には大きく分けて,放射性同位元素標識プローブを用いオートラジオグラフィー法で解析する方法と,ハプテンなどの非放射性物質でプローブを標識し標識物質の性質を利用して信号を検出する方法1)とがある.ここでは臨床検査室などでの応用を考慮して後者のハプテン標識プローブを用いた免疫組織化学的方法について述べる.FAB分類では,ALLはL1〜L3の3型に,ANLLは,1976年の初発論文1)ではM1〜M6の7型(M5はa,b2型)に分類されていたが,1985年にM7が追加され3)現在は8型に分類されている.以下,各病型を概説する.

細胞診の精度管理への画像解析の応用

吉見 直己 , 高橋 正宜

pp.1326-1327

 集検細胞診での精度管理面でのコンピューターによる画像解析の応用について,その現状と将来の展望を述べたい.

 近年の細胞診の普及は剥離細胞のみならず,積極的に穿刺細胞に関しても行われている.しかし,細胞診の長所はなんといっても採取時の簡便さ,ことに苦痛が少ない点と,生検組織診に比べて広範な部位から集細胞しえる点にあり,このため集団検診には最適である.老人保健法施行以来,細胞診は子宮癌検診に利用され,加えて法改正により今後,肺癌検診においても喀痰細胞診はX線撮影とともに早期発見の重要な柱となってきており,細胞診検体数はますます増加の一途をたどるであろう.しかるに,集団検診での細胞診断の第一の担い手は,市町村から委託された病院および民間細胞検査センターなどの細胞検査スクリーナーであり,大量の検体に対して十分な診断精度を維持しうるかどうか,きわめて重要な問題点を有している.このため各県単位で精度管理委員会が設置されフォローされてはいるが,大概,日本臨床細胞学会の地方支部主催によるスクリーナーに対する研修セミナーが主体のようであり,精度管理としては方法論的に問題が残ろう.

蛍光内視鏡的生検

小中 千守

pp.1413

 従来,内視鏡的生検法は,腫瘍性病変と思われる部分を術者が内視鏡的に診断し生検を行う方法である.しかし,早期癌では内視鏡的局在診断が容易でないため,生検部位の決定が困難である.そこでわれわれは腫瘍親和性蛍光物質であるヘマトポルフィリン誘導体を利用し,その蛍光観察による癌の局在診断と,蛍光部位の生検による確定診断法を試みている.この蛍光内視鏡的生検法は,早期肺癌の発見,診断に有効である.それは,近年普及しつつある喀痰細胞診による集団検診で発見されるOccult cancerでは,内視鏡的にその局在が不明なことが多いためである.

 この方法は,ヘマトポルフィリン誘導体(HpD)を2.0〜5.0mg/kg静脈内投与し,48時間後に405nm波長のエキシマダイレーザー光線を照射して,630nmと690nmにピークを有するHpD特異蛍を観察するものである.しかし,この蛍光は微弱なため,内視鏡下での直視は困難である.そこでわれわれは波長分析装置とコンピューターを用い,TVモニター上に内視鏡像とHpD特異波型を同時に抽写することを可能とした(図1,2).

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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63巻1号(2019年1月発行)

今月の特集1 発症を予測する臨床検査—先制医療で5疾病に立ち向かう!
今月の特集2 薬の効果・副作用と検査値

62巻12号(2018年12月発行)

今月の特集1 海外帰りでも慌てない旅行者感染症
今月の特集2 最近の輸血・細胞移植をめぐって

62巻11号(2018年11月発行)

今月の特集1 循環癌細胞(CTC)とリキッドバイオプシー
今月の特集2 ACSを見逃さない!

62巻10号(2018年10月発行)

増刊号 感染症関連国際ガイドライン—近年のまとめ

62巻9号(2018年9月発行)

今月の特集1 DIC診断基準
今月の特集2 知っておきたい遺伝性不整脈

62巻8号(2018年8月発行)

今月の特集 女性のライフステージと臨床検査

62巻7号(2018年7月発行)

今月の特集1 尿検査の新たな潮流
今月の特集2 現場を変える!効果的な感染症検査報告

62巻6号(2018年6月発行)

今月の特集1 The Bone—骨疾患の病態と臨床検査
今月の特集2 筋疾患に迫る

62巻5号(2018年5月発行)

今月の特集1 肝線維化をcatch
今月の特集2 不妊・不育症医療の最前線

62巻4号(2018年4月発行)

増刊号 疾患・病態を理解する—尿沈渣レファレンスブック

62巻3号(2018年3月発行)

今月の特集1 症例から学ぶ血友病とvon Willebrand病
今月の特集2 成人先天性心疾患

62巻2号(2018年2月発行)

今月の特集1 Stroke—脳卒中を診る
今月の特集2 実は増えている“梅毒”

62巻1号(2018年1月発行)

今月の特集1 知っておきたい感染症関連診療ガイドラインのエッセンス
今月の特集2 心腎連関を理解する

60巻13号(2016年12月発行)

今月の特集1 認知症待ったなし!
今月の特集2 がん分子標的治療にかかわる臨床検査・遺伝子検査

60巻12号(2016年11月発行)

今月の特集1 血液学検査を支える標準化
今月の特集2 脂質検査の盲点

60巻11号(2016年10月発行)

増刊号 心電図が臨床につながる本。

60巻10号(2016年10月発行)

今月の特集1 血球貪食症候群を知る
今月の特集2 感染症の迅速診断—POCTの可能性を探る

60巻9号(2016年9月発行)

今月の特集1 睡眠障害と臨床検査
今月の特集2 臨床検査領域における次世代データ解析—ビッグデータ解析を視野に入れて

60巻8号(2016年8月発行)

今月の特集1 好塩基球の謎に迫る
今月の特集2 キャリアデザイン

60巻7号(2016年7月発行)

今月の特集1 The SLE
今月の特集2 百日咳,いま知っておきたいこと

60巻6号(2016年6月発行)

今月の特集1 もっと知りたい! 川崎病
今月の特集2 CKDの臨床検査と腎病理診断

60巻5号(2016年5月発行)

今月の特集1 体腔液の臨床検査
今月の特集2 感度を磨く—検査性能の追求

60巻4号(2016年4月発行)

今月の特集1 血漿蛋白—その病態と検査
今月の特集2 感染症診断に使われるバイオマーカー—その臨床的意義とは?

60巻3号(2016年3月発行)

今月の特集1 日常検査からみえる病態—心電図検査編
今月の特集2 smartに実践する検体採取

60巻2号(2016年2月発行)

今月の特集1 深く知ろう! 血栓止血検査
今月の特集2 実践に役立つ呼吸機能検査の測定手技

60巻1号(2016年1月発行)

今月の特集1 社会に貢献する臨床検査
今月の特集2 グローバル化時代の耐性菌感染症

59巻13号(2015年12月発行)

今月の特集1 移植医療を支える臨床検査
今月の特集2 検査室が育てる研修医

59巻12号(2015年11月発行)

今月の特集1 ウイルス性肝炎をまとめて学ぶ
今月の特集2 腹部超音波を極める

59巻11号(2015年10月発行)

増刊号 ひとりでも困らない! 検査当直イエローページ

59巻10号(2015年10月発行)

今月の特集1 見逃してはならない寄生虫疾患
今月の特集2 MDS/MPNを知ろう

59巻9号(2015年9月発行)

今月の特集1 乳腺の臨床を支える超音波検査
今月の特集2 臨地実習で学生に何を与えることができるか

59巻8号(2015年8月発行)

今月の特集1 臨床検査の視点から科学する老化
今月の特集2 感染症サーベイランスの実際

59巻7号(2015年7月発行)

今月の特集1 検査と臨床のコラボで理解する腫瘍マーカー
今月の特集2 血液細胞形態判読の極意

59巻6号(2015年6月発行)

今月の特集1 日常検査としての心エコー
今月の特集2 健診・人間ドックと臨床検査

59巻5号(2015年5月発行)

今月の特集1 1滴で捉える病態
今月の特集2 乳癌病理診断の進歩

59巻4号(2015年4月発行)

今月の特集1 奥の深い高尿酸血症
今月の特集2 感染制御と連携—検査部門はどのようにかかわっていくべきか

59巻3号(2015年3月発行)

今月の特集1 検査システムの更新に備える
今月の特集2 夜勤で必要な輸血の知識

59巻2号(2015年2月発行)

今月の特集1 動脈硬化症の最先端
今月の特集2 血算値判読の極意

59巻1号(2015年1月発行)

今月の特集1 採血から分析前までのエッセンス
今月の特集2 新型インフルエンザへの対応—医療機関の新たな備え

58巻13号(2014年12月発行)

今月の特集1 検査でわかる!M蛋白血症と多発性骨髄腫
今月の特集2 とても怖い心臓病ACSの診断と治療

58巻12号(2014年11月発行)

今月の特集1 甲状腺疾患診断NOW
今月の特集2 ブラックボックス化からの脱却—臨床検査の可視化

58巻11号(2014年10月発行)

増刊号 微生物検査 イエローページ

58巻10号(2014年10月発行)

今月の特集1 血液培養検査を感染症診療に役立てる
今月の特集2 尿沈渣検査の新たな付加価値

58巻9号(2014年9月発行)

今月の特集1 関節リウマチ診療の変化に対応する
今月の特集2 てんかんと臨床検査のかかわり

58巻8号(2014年8月発行)

今月の特集1 個別化医療を担う―コンパニオン診断
今月の特集2 血栓症時代の検査

58巻7号(2014年7月発行)

今月の特集1 電解質,酸塩基平衡検査を苦手にしない
今月の特集2 夏に知っておきたい細菌性胃腸炎

58巻6号(2014年6月発行)

今月の特集1 液状化検体細胞診(LBC)にはどんなメリットがあるか
今月の特集2 生理機能検査からみえる糖尿病合併症

58巻5号(2014年5月発行)

今月の特集1 最新の輸血検査
今月の特集2 改めて,精度管理を考える

58巻4号(2014年4月発行)

今月の特集1 検査室間連携が高める臨床検査の付加価値
今月の特集2 話題の感染症2014

58巻3号(2014年3月発行)

今月の特集1 検査で切り込む溶血性貧血
今月の特集2 知っておくべき睡眠呼吸障害のあれこれ

58巻2号(2014年2月発行)

今月の特集1 JSCC勧告法は磐石か?―課題と展望
今月の特集2 Ⅰ型アレルギーを究める

58巻1号(2014年1月発行)

今月の特集1 診療ガイドラインに活用される臨床検査
今月の特集2 深在性真菌症を学ぶ

57巻13号(2013年12月発行)

今月の特集1 病理組織・細胞診検査の精度管理
今月の特集2 目でみる悪性リンパ腫の骨髄病変

57巻12号(2013年11月発行)

今月の特集1 前立腺癌マーカー
今月の特集2 日常検査から見える病態―生化学検査②

57巻11号(2013年10月発行)

特集 はじめよう,検査説明

57巻10号(2013年10月発行)

今月の特集1 神経領域の生理機能検査の現状と新たな展開
今月の特集2 Clostridium difficile感染症

57巻9号(2013年9月発行)

今月の特集1 肺癌診断update
今月の特集2 日常検査から見える病態―生化学検査①

57巻8号(2013年8月発行)

今月の特集1 特定健診項目の標準化と今後の展開
今月の特集2 輸血関連副作用

57巻7号(2013年7月発行)

今月の特集1 遺伝子関連検査の標準化に向けて
今月の特集2 感染症と発癌

57巻6号(2013年6月発行)

今月の特集1 尿バイオマーカー
今月の特集2 連続モニタリング検査

57巻5号(2013年5月発行)

今月の特集1 実践EBLM―検査値を活かす
今月の特集2 ADAMTS13と臨床検査

57巻4号(2013年4月発行)

今月の特集1 次世代の微生物検査
今月の特集2 非アルコール性脂肪性肝疾患

57巻3号(2013年3月発行)

今月の特集1 分子病理診断の進歩
今月の特集2 血管炎症候群

57巻2号(2013年2月発行)

今月の主題1 血管超音波検査
今月の主題2 血液形態検査の標準化

57巻1号(2013年1月発行)

今月の主題1 臨床検査の展望
今月の主題2 ウイルス性胃腸炎

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