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文献詳細

雑誌文献

臨床検査31巻3号

1987年03月発行

文献概要

今月の主題 生体色素 技術解説

ポルフィリン体の分画測定

著者: 佐々茂1

所属機関: 1

ページ範囲:P.259 - P.267

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 ポルフィリンは金属を含まない平面構造を有する環状テトラピロールであり,著明な赤色蛍光を有する.ポルフィリンはヘムの生合成系の中間体であるポルフィリノゲンが自動酸化されたもので,正常人の血液,尿,胆汁,糞便中には微量を認めるに過ぎないが,ヘムの生合成障害を伴う一連の疾患,例えばポルフィリン症,鉛中毒,鉄欠乏性貧血,あるいはヘムの生合成九進状態である溶血性貧血などでは著しく増量する.また,各種疾患により増量するポルフィリンの種類や蓄積する臓器が異なるので,ポルフィリンの分画定量は診断確立上重要な所見である.ポルフィリンは溶媒抽出法や種々のクロマトグラフィーにより容易に分別されるが,特にHPLCによる分画定量が優れている.ポルフィリンの検出には高感度の蛍光測定法が優れており,表面蛍光光度計を用いると血液1滴をカバーグラスに落とすだけで直ちに赤血球ポルフィリン量が求められるようになっており,鉛中毒や,鉄欠乏性貧血のスクリーニングはきわめて容易になった.今後非侵襲的測定法など画期的な方法の開発が期待される領域である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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