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血中ポリアミンの新しい測定法と癌患者への応用
著者: 尾辻省悟1 副島安子1 山田秀明2
所属機関: 1鹿児島大学医学部臨床検査医学教室 2京都大学農学部農芸化学科
ページ範囲:P.453 - P.456
文献購入ページに移動Russellら1)により癌患者尿中へのポリアミン排泄増加が報告されて以来,尿,血液など体液中のポリアミンの変動に関する検討がなされ,ポリアミンが広い範囲の癌の診断や化学療法,手術などの効果を判定する新しい指標となる可能性が示され注目を集めている.従来,ポリアミン測定は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)やアミノ酸分析法などで行われていたが,検体処理の繁雑さや測定時間の長さなどから臨床検査として限界があった.最近,酵素を用いる簡便な分析法が開発され臨床検査への応用も可能になりつつある.すなわち,尾辻ら2〜4)は二種のアミン酸化酵素を用いて尿および血中ポリアミンの分別測定法を開発した.また,久保田ら5)とMatsumotoら6)は尿中総ポリアミン測定法を開発した.久保田らの方法は,尿中アセチル型ポリアミンの遊離型への分解を塩酸加水分解法から酵素加水分解法に改良し簡便化したが,スペルミン(Spm)を測定できない欠点を有していた.Matsumotoらの方法はSpmから2倍モル量のH2O2を生成するため正確な値を得られなかった.また,尿中ポリアミンにはプトレッシン(Put)とスペルミジン(Spd)が多く,その多くはアセチル型で存在するのに対し,血中ポリアミンは大部分(95%以上)がSpdとSpmであり,それらは血球画分に遊離型で存在する.したがって,上記の尿中総ポリアミン測定法は血中総ポリアミン測定に適用できなかった.
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