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今月の主題 免疫血液学検査法の進歩 血球膜抗原の検査
血小板膜抗原の検査
著者: 半田誠1 池田康夫1
所属機関: 1慶応義塾大学病院輸血センター
ページ範囲:P.624 - P.629
文献購入ページに移動 検査室業務でしばしば遭遇し,臨床的に重要な同種抗体の対応抗原として血小板膜上にはHLA抗原,ならびに血小板膜特異抗原がある.後者は血小板膜糖蛋白質上にのみ存在し,輸血後紫斑病や新生児同種抗体血小板減少症などで発現する抗体の対応抗原となる.また,特発性血小板減少性紫斑病などに出現する自己抗体の対応抗原の一部でもある.それら血小板膜糖蛋白質の中でGPIbならびにGPIIb,GPIIIaが特に重要で,今まで知られている同種抗体や自己抗体のほとんどすべてが,これらの上にその対応抗原を持っている.対応抗原の同定には1.免疫沈降法,2.イムノブロッテング法,がある.前者は血小板膜糖蛋白質をラジオアイソトープで標識したものを抗原として被検血清に存在する抗体と免疫複合体を形成させる.それをプロテインAビーズで沈降させ,SDS-PAGEのあとオートラジオグラフィーで免疫沈降された対応抗原を同定する.後者はまず,血小板膜をSDS-PAGEで分離しニトロセルロース膜にトランスファーさせ,そこへ被検血清を作用させる.膜上の対応抗原と結合した抗体をアルカリホスファターゼなどで標識された二次抗体で酵素抗体法を使って同定する.
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