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今月の主題 死の判定と検査 技術解説
死後経過時間の判定
著者: 高取健彦1
所属機関: 1北海道大学医学部法医学教室
ページ範囲:P.980 - P.986
文献購入ページに移動 死後,物理化学的変化により発現する死体現象は,死後経過時間の推定に有用であるばかりでなく,個体死の確認にも重要である.この死体現象には,死後早い時期にあらわれる早期死体現象と,比較的遅れてあらわれる晩期死体現象と,特異な条件下で発生する異常死体現象がある.これらの死体現象はいずれも,死体の置かれている環境条件や,死体側の条件により変化しうるものばかりであり,一つの死体現象からだけで死後経過時間を推定することは危険であるといえる.したがって,種々の死体現象を総合的に観察し,それらの最大公約数的範囲から死後経過時間を推定することになるが,これはおのずと,かなりの幅をもった推定時間帯とならざるをえない.死後経過時間の推定は,法医学においては古くて新しい問題であり,今後,死後経過時間の判定ができるだけ狭い範囲に限定できる方法の開発が望まれる.
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