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文献詳細

雑誌文献

臨床検査33巻11号

1989年10月発行

文献概要

特集 癌の臨床検査 I 癌そのものをとらえる検査 1 ウイルスに関する検査

B.癌関連ウイルス 5)B型肝炎ウイルス(HBV)

著者: 樋野興夫1

所属機関: 1(財)癌研究会癌研究所病理部

ページ範囲:P.1275 - P.1281

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はじめに
 マスコミでは,昨年来,大きく報道されていたアメリカのカイロン社による非A・非B型肝炎ウイルスの分離・同定に関する学術論文が,この原稿をしたためているときにちょうど,"Science"誌(1989年4月21日号)に掲載された1,2)
 これまでの非A・非B型肝炎ウイルスの発見の記事は,どれも発表されては,いつの間にか消えていく,という自然史をとってきたものであるが,今度こそは本物であると,多くの人々は期待を寄せている.カイロン社の発表によれば,このウイルスは,positive-strandをもつ約10,000塩基対の大きさのRNA型ウイルスで,TogaないしFlaviウイルス様であるという.この遺伝子の全構造も,間もなく学術論文に発表されることであろう.1965年Blumbergがオーストラリア抗原を発見(ノーベル賞受賞)して2年後,これが肝炎と関連することが判明し,この抗原がB型肝炎ウイルス(HBV)表面抗原そのものであることが確認されたときとよく似た情況になるのではないだろうか.その後,たちまちにしてHBVの診断,予防は確立されていったのである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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