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文献詳細

雑誌文献

臨床検査33巻11号

1989年10月発行

文献概要

特集 癌の臨床検査 I 癌そのものをとらえる検査 2 癌遺伝子に関する検査

B.癌遺伝子の検査法 1)DNAプローブ診断法

著者: 野島博1

所属機関: 1大阪大学微生物病研究所難治疾患バイオ分析部門分子遺伝分野

ページ範囲:P.1287 - P.1293

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はじめに
 ここ十数年の癌に関する分子生物学的研究の著しい進展によって,化学発癌,ウイルス発癌にかかわらず,細胞の癌化過程における遺伝子上の変化の果たす役割の重要性が強く認識されてきた.正常細胞は増殖促進あるいは抑制という正,負のバランスをうまく保って節度ある生命活動を営んでいるが,化学物質,放射線,ウイルス感染などの外因あるいは複製の誤謬や遺伝的素因などの内因が単独で,あるいは絡み合って増殖制御を狂わすような形で遺伝子上に不可逆な変異を起こすと,細胞は無限増殖の道をたどることになる.
 これまでに発見され解析されてきた40種以上の癌遺伝子は,ほとんどが増殖シグナルの受容・伝達または核内での転写制御にかかわる増殖促進因子であったが,最近になって遺伝性腫瘍の研究から新たな癌関連遺伝子が癌抑制遺伝子の候補として注目を浴びている.これらの進展をもとに臨床検査の場でも早期診断から予後の予測,遺伝的素因の有無を知るための腫瘍マーカーとしてのDNAプローブ診断法への期待が高まっている1〜3)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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