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文献詳細

雑誌文献

臨床検査33巻11号

1989年10月発行

文献概要

特集 癌の臨床検査 I 癌そのものをとらえる検査 3 癌組織産生物質"腫瘍マーカー"の検査

A.総論 1)概説

著者: 河合忠1

所属機関: 1自治医科大学臨床病理学講座

ページ範囲:P.1319 - P.1322

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腫瘍マーカーとは
 腫瘍マーカー(tumor markers)というのは,癌細胞が産生し,そのものを組織や細胞または血液などの体液や分泌液や排泄液中に検出・定量することが臨床的に役立つ物質をいう.さらに,広義には,必ずしも癌細胞が産生しているわけではないが,癌の診断や経過観察に役立つ物質,例えば炎症マーカーまで広く含めることもある.理想的には,癌細胞のみがもっている癌特異物質(抗原)(cancer-specific substances or antigens)を測定することが望ましいが,現在のところそのような物質が発見されていないか,少なくとも実用的な測定法がないので,やむなく癌関連物質(抗原)(cancer-associated substances or antigens)が腫瘍マーカーとして用いられている.癌関連物質というのは,癌細胞のみに存在するというものではないが,癌細胞中に増加してくるものである.したがって,現在臨床的に使われている腫瘍マーカーは,厳密に癌のみに陽性または増加するというものではない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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