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文献詳細

雑誌文献

臨床検査33巻11号

1989年10月発行

文献概要

特集 癌の臨床検査 I 癌そのものをとらえる検査 3 癌組織産生物質"腫瘍マーカー"の検査

B.各論 6)エラスターゼ

著者: 平沢豊1 竹内正2

所属機関: 1東京女子医科大学臨床中央検査部 2東京女子医科大学消化器内科

ページ範囲:P.1349 - P.1352

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はじめに
 エラスターゼは,動脈壁,項靱帯,肺,皮膚などに広く分布する繊維性蛋白"エラスチン"を分解・消化する酵素である.したがって,当初は肺気腫,動脈硬化症,出血性膵炎などの成因の観点から研究されていた.エラスターゼが膵癌における腫瘍マーカーとして注目されるようになったのは,大山ら1)によってラジオイムノアッセイ(RIA)によるヒト血清膵エラスターゼの測定法が開発され,さらに,木村ら2)によって膵疾患との関連性が示された1970年代後半からである.
 確かに,エラスターゼは他の膵酵素に比べると,膵癌をよく反映する.しかし,必ずしも膵癌だけではなく,急性膵炎や慢性再発性膵炎などの炎症性の膵疾患によっても血中エラスターゼの上昇がみられ,またエラスターゼが癌細胞によって産生される物質ではないことから,狭義の意味での腫瘍マーカーとは呼ばれていない.一方,膵癌による膵管閉塞や炎症が原因となって上昇した血中エラスターゼが,膵癌発見のきっかけとなることもしばしば経験されることである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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