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文献詳細

雑誌文献

臨床検査33巻11号

1989年10月発行

文献概要

特集 癌の臨床検査 I 癌そのものをとらえる検査 3 癌組織産生物質"腫瘍マーカー"の検査

B.各論 13)PIVKA-II

著者: 大倉久直1 梶村直子1 岡崎伸生1

所属機関: 1国立がんセンター病院臨床検査部

ページ範囲:P.1377 - P.1380

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性状
 PIVKA-IIとは,ビタミンK欠乏に際して作られる異常プロトロンビンの一種で,protein induced by vitamin Kabsence-IIまたはdes-γ-carboxylprothrombinと呼ばれる.プロトロンビン前駆体のN端にある10個のグルタミン残基をカルボキシル化してグルタミン酸に変える酵素,γ-glutamylcarboxylaseにはビタミンKに依存性があるため,ビタミンK欠乏状態では正常なプロトロンビンが作られず,代わりにグルタミン酸残基を欠くか,または数の少ないPIVKA-IIが作られる.このPIVKA-IIはカルシウムイオンと結合できず凝固活性を欠いているために,正常プロトロンビンが低下し,PIVKA-IIが増加した病態では凝固異常がみられる.
 PIVKA-IIは初め未熟児のビタミンK欠乏性出血の病態把握のための指標として開発されたが,その後,新しい肝癌の腫瘍マーカーとして評価された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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