文献詳細
特集 癌の臨床検査
I 癌そのものをとらえる検査 3 癌組織産生物質"腫瘍マーカー"の検査
文献概要
はじめに
前立腺腫瘍マーカーとしては,1938年Gutmanら1)が報告した血中酸性ホスファターゼ(ACP)が長らく前立腺癌の診断,治療効果判定に用いられてきた.しかし特異性,感受性に乏しく,1964年Schluman2)がACP中の前立腺組織特異分画(PAP)を報告し,現在までこのPAPが腫瘍マーカーとして広く用いられている.そのPAPも,早期癌で陽性率が低いこと,遠隔転移を有する進行癌においても20〜25%に陰性例をみることから,前立腺癌に対する感受性,特異性の高い腫瘍マーカーの開発が待たれていた.
われわれは,原ら3)によって発見されたヒト精漿特異抗原であるγ-セミノプロテイン(γ-Sm)に着目し,新しい前立腺腫瘍マーカーとして臨床応用し,その有用性を報告してきた4,5).今回,γ-Smの性状,測定値の読みかた,臨床的効用について述べる.
前立腺腫瘍マーカーとしては,1938年Gutmanら1)が報告した血中酸性ホスファターゼ(ACP)が長らく前立腺癌の診断,治療効果判定に用いられてきた.しかし特異性,感受性に乏しく,1964年Schluman2)がACP中の前立腺組織特異分画(PAP)を報告し,現在までこのPAPが腫瘍マーカーとして広く用いられている.そのPAPも,早期癌で陽性率が低いこと,遠隔転移を有する進行癌においても20〜25%に陰性例をみることから,前立腺癌に対する感受性,特異性の高い腫瘍マーカーの開発が待たれていた.
われわれは,原ら3)によって発見されたヒト精漿特異抗原であるγ-セミノプロテイン(γ-Sm)に着目し,新しい前立腺腫瘍マーカーとして臨床応用し,その有用性を報告してきた4,5).今回,γ-Smの性状,測定値の読みかた,臨床的効用について述べる.
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