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わだい
DNA損傷と発癌
著者: 穴井元昭1
所属機関: 1九州大医療技術短期大学部
ページ範囲:P.1482 - P.1483
文献購入ページに移動 癌形質が細胞分裂によって娘細胞に伝えられ安定に保持されることや,ヒトの発癌因子の一部にDNAに損傷を与える紫外線,X線あるいは化学発癌物質があることから,癌化とは特定の遺伝子の突然変異に原因があるとする考えかたがあった(体細胞突然変異説).この説の直接の証明は,癌遺伝子(c-H-ras)がヒト膀胱癌由来の細胞株から分離され,さらにこの遺伝子に相同な部分がヒト正常細胞のDNAにも含まれており,その違いは,単一の塩基置換のためにc-H-ras遺伝子がコードする分子量21,000の蛋白質のN末端から12番目のグリシン(GGC)がバリン(GTC)に変化していることが明らかにされたことである1).
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