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文献詳細

雑誌文献

臨床検査33巻11号

1989年10月発行

文献概要

特集 癌の臨床検査 IV 癌の検診—主要な症候別癌診断・検査のポイント

2 主な症候胃部不快感—胃癌

著者: 石森章1 川村武1

所属機関: 1東北大学医学部臨床検査診断学教室

ページ範囲:P.1529 - P.1533

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はじめに
 胃癌はわが国において最も頻度の高い癌であり,世界的にみても高率であることはよく知られている.したがって,わが国では胃癌の集団検診システムが早くから確率され,1958年の日本対ガン協会設立以来,広く実施されてきた.その結果,胃癌の早期発見と治療が可能となり,年齢訂正死亡率からみても減少傾向にあるが,一方においては罹患率も低下していることが指摘されている.
 実際にはこのような胃癌の訂正死亡率の減少は世界的な傾向でもあることが報告されており,富永の報告1)をみると,わが国の胃癌死亡率の減少は諸外国のそれと比較しても顕著なものではない.胃癌の集団検診を実施していないアメリカにおいても,わが国よりもむしろ著明な死亡率の低下を認めていることから,胃癌の死亡率の低下は集団検診の効果のみに起因するのではなく,食生活や環境の変化など複数の要因の関与が示唆されている.また従来の胃集団検診の評価に関する検討方法についても検査対象の偏在や特殊性が指摘されており,無作為対照比較試験による評価が要求されている2).国際的にはnot recommended as apublic health policy,except in Japanとされているが,しかし,いずれにしても胃集団検診が早期発見,治癒率の向上に寄与してきたことに変わりはなく,その意義を損なうものではない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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