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文献詳細

雑誌文献

臨床検査33巻12号

1989年11月発行

文献概要

今月の主題 血小板・凝固・線溶系の分子マーカー 血小板

膜損傷マーカーGlycocalicin

著者: 半田誠1 池田康夫1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部輸血センター

ページ範囲:P.1584 - P.1589

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 Glycocalicin (GC)は,血小板膜糖蛋白Ib (GPIb)α鎖の蛋白分解酵素による分解産物である.Ca2+イオン存在下で血小板をトロンビンなどで活性化したり,あるいは超音波処理などでその細胞膜を破壊したりすると,膜上に存在するGPIbα鎖は,血小板内に存在していたCa2+依存性蛋白分解酵素(calpain)により水解を受ける.そして,上清に移行した部分がGCである.血漿GC濃度は正常人で1〜3μg/mlとされ,これはin vitroでのサンプリングの際のアーチファクトではないことが示され,in vivoでの血小板膜の特異的な損傷マーカーと考えられる,実際,血小板のturnoverの亢進したあるいは寿命の短縮した病態,例えば免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)では高値をとり,また血管内での血小板の破壊の起こる血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の患者血漿では異常高値をとることが示された.しかし,この値は体内の血小板のmassと関係が深く,局所的な血小板の消費を伴うような血栓性疾患においてはあまりよいマーカーとはならない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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