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文献詳細

雑誌文献

臨床検査33巻12号

1989年11月発行

文献概要

今月の主題 血小板・凝固・線溶系の分子マーカー 血管内皮細胞

膜損傷マーカートロンボモジュリン

著者: 丸山征郎1

所属機関: 1鹿児島大学医学部第三内科学教室

ページ範囲:P.1643 - P.1646

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 トロンボモジュリン(thrombomodulin:TM)は,分子量が約105000の血管内皮特異蛋白である.その機能は,トロンビンを血管内皮細胞上で,凝固酵素から抗凝固酵素へと変換せしめることである.すなわち,TMはトロンビンと非常に高い親和性を有しており,血中のトロンビンはTMと複合体をつくる.TMと結合したトロンビンはもはやフィブリン形成能,第V,VIII因子活性化能,血小板活性化能を失い,逆にプロテインC活性化能が著しく強まる.
 TMは血中,尿中にも存在しており,多くは血管内皮細胞由来であろうと考えられている.この血中のTMはDICや血管炎,糖尿病などに際し上昇することがわかり,新しい血管内皮損傷マーカーとして注目されつつある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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