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文献詳細

雑誌文献

臨床検査33巻7号

1989年07月発行

文献概要

今月の主題 臨床検査における標準物質 巻頭言

臨床検査における標準化の意義

著者: 大場康寛1

所属機関: 1近畿大学医学部臨床病理学

ページ範囲:P.739 - P.740

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 今ただちに国内外すべてとはいわないまでも,少なくとも共通診療圏内,あるいは同世代における臨床診断・治療上の情報把握において,また,学術的な研究,文献の内容の正しい理解を得るためにも,医学・医療データに共通性と互換性をもたせること,そしてそのために,なんらかのルールによる統一化が望まれる.すなわち,国内的および国際的医学・医療情報,技術の円滑な認識の交流を図るためにも,換算,翻訳不要のデータの一定化した表現ができる共通の物指し,手技,手法と,その基本になる"原器"の設定が強く求められる.
 われわれの検査医学の領域でよくあることであるが,同一生体試料の分析において,異なった方法,装置を用いたり,あるいはいわゆる定評ある測定法を用いたとしても,つねに正しい信頼性のある値が出るとはかぎらない.分析原理,操作,手順,試薬,標準物質,器具装置などの特性が,総合的に集約されてあらわれてくる分析法自体の精密度と正確度とともに,分析装置の性能,保守整備の差,さらに測定者の技能などの因子が多岐にわたって関与しているからである.ここに,測定法を正しく評価するための基準となる方法論の確立,つまり共通の基盤をもつ標準化された方法の設定が必要となる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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