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文献詳細

雑誌文献

臨床検査33巻7号

1989年07月発行

文献概要

今月の主題 臨床検査における標準物質 各論

微生物学分野での標準物質

著者: 本田武司12 余明順2 相原雅典3

所属機関: 1大阪大学微生物病研究所細菌血清学部門 2大阪大学微生物病研究所菌株保存施設 3天理よろづ相談所病院臨床病理部

ページ範囲:P.789 - P.795

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 臨床検査の精度をあげ,また各検査室間での検査成績のバラツキを防ぐためにも,臨床検査の現場では種々な標準物質が用いられている.現今の臨床検査はさまざまな分野に分かれていいるが,これらの中で微生物検査は,検査成績を保証する検査法そのものの標準化や精度管理法の体系化がもっとも遅れた分野で,唯一ともいえる標準物質は,標準菌株(type strain)である.高い精度での分離菌の菌種同定に標準菌株は不可欠であり,日常検査における各検査室での技術や検査機器システムに問題のないことをこれらの菌株を用いて常日頃から確認する努力が,検査精度を高めるために必要である.また,分離菌の同定のみならず,薬剤感受性試験にも指定された標準菌株があり,これらを用いて検査精度を高めるべきであろう.必要な標準菌株の一部は市販されているし,また,国内.国外には多くの菌株保存機関があり,それらから標準となる菌株の入手も可能なので,これらのシステムをおおいに活用すべきである.臨床検査室での精度管理を根づかせるためには,やみくもに理想を求めるのではなく,入手可能な必要最小限の標準物質(菌株)を用いて,ともかく検査精度の管理をスタートさせるべきであろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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