文献詳細
文献概要
ME機器と安全・2
ミクロショツクと病院内配電設備
著者: 福本一朗1
所属機関: 1シャルマース工科大学応用電子工学科医用電子工学講座
ページ範囲:P.953 - P.956
文献購入ページに移動ミクロショック
心臓はそれ自身が精巧に作られた生物発振器一電気信号伝達系でもあることからも,容易に類推されるように通電に対して非常に敏感である.極微小電流が心臓に流されただけで心臓の同調率は失われ,心室の収縮は不規則となり,心臓の各部分は勝手に収縮してポンプとしての機能は激減する.この状態を心室細動という.心室細動が生じてしまうと2Aから6Aという大電流を心臓に通電して心筋の再同期を期待する直流除細動以外の方法では心機能を回復させることは困難である.
心臓カテーテルなど心臓近辺に挿入された物質が低インピーダンス電流路となって,心臓に通電された時には心臓への生理的影響が体外からの通電量より低い電流値で生じる.これをミクロショックと呼ぶ.右心室先端近くに置かれたカテーテルはイヌを用いた実験では約10μA,ヒトでは約60μAで心収縮の欠落をもたらすことがわかっている.カテーテルを入れたままで電流量を増していくとイヌにおいては2μAで心室細動が生じる.ヒトにおいて心室細動を起こす電流閾値は,心筋針電極の場合で200μA,心尖円盤電極で75μAと測定されている.この閾値より低い電流の場合では可逆性の心室性頻脈を生じるが,閾値を越えると上述の心室細動へと移行する.
心臓はそれ自身が精巧に作られた生物発振器一電気信号伝達系でもあることからも,容易に類推されるように通電に対して非常に敏感である.極微小電流が心臓に流されただけで心臓の同調率は失われ,心室の収縮は不規則となり,心臓の各部分は勝手に収縮してポンプとしての機能は激減する.この状態を心室細動という.心室細動が生じてしまうと2Aから6Aという大電流を心臓に通電して心筋の再同期を期待する直流除細動以外の方法では心機能を回復させることは困難である.
心臓カテーテルなど心臓近辺に挿入された物質が低インピーダンス電流路となって,心臓に通電された時には心臓への生理的影響が体外からの通電量より低い電流値で生じる.これをミクロショックと呼ぶ.右心室先端近くに置かれたカテーテルはイヌを用いた実験では約10μA,ヒトでは約60μAで心収縮の欠落をもたらすことがわかっている.カテーテルを入れたままで電流量を増していくとイヌにおいては2μAで心室細動が生じる.ヒトにおいて心室細動を起こす電流閾値は,心筋針電極の場合で200μA,心尖円盤電極で75μAと測定されている.この閾値より低い電流の場合では可逆性の心室性頻脈を生じるが,閾値を越えると上述の心室細動へと移行する.
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