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文献詳細

雑誌文献

臨床検査34巻1号

1990年01月発行

文献概要

TOPICS

血清コレステロールの正常値

著者: 小泉順二1 馬渕宏1 竹田亮祐1

所属機関: 1金沢大学第二内科

ページ範囲:P.95 - P.96

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 血清コレステロール(TC)が冠動脈硬化の重要な危険因子であることは,広く知られている.血清脂質の正常値は,従来,一般健康人の集団の平均±標準偏差で決められていた.しかし,この方法では環境因子により異なった値となり,また,健康人と思われる人で将来動脈硬化症を生じるおそれのある高脂血症患者を除外することはできず,動脈硬化症の危険因子としての高脂血症を定義する標準値(正常値)を決定することは困難である.したがって,正常値として大規模な疫学調査から得られた正常値が採用されるようになっている.
 フラミンガム・スタディによると,TCと冠動脈硬化症(CHD)の関係は,240mg/dlを越えると直線的に高くなると,CHDを生じる閾値が考えられていた1).しかし,1986年に発表されたMultiple Risk Factor Intervention Trial(MRFIT)の成績で,150mg/dlより300mg/dlまで,TCが上昇すればするだけCHDによる死亡が増加することが示され2),現在では,TCは低ければ低いほうが冠動脈硬化に良いと考えられている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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