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文献詳細

雑誌文献

臨床検査34巻11号

1990年10月発行

文献概要

特集 電解質と微量元素の臨床検査ガイド 総論 1 代謝と生理

9)銅(Cu)

著者: 寺尾寿夫1

所属機関: 1帝京大学医学部内科

ページ範囲:P.1326 - P.1329

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代謝と生理
 銅(Cu)は,生体にとって不可欠な金属元素の一つである.しかし,体内のCuの総量は成人で75~150mgにすぎない.このうち,肝に濃度が最も高く8~10%(10~15mg)が含まれており,また脳,心,腎,骨髄などにも比較的高濃度に含まれている.脳では色素の多い部分,例えば青斑核などに多く存在し,脳全体では約10mgが含まれている.骨,筋の単位重量当たりのCuの量は少ないが,臓器全体としては多く,体内Cuの約1/2はこの両者に含まれている1).ヒトの1日のCu摂取量は2~5mgであるから,1年間の経口摂取量を合計すれば,体内Cuの約10倍に達する計算になる.
 Cuは主に上部消化管で吸収される.吸収されたCuはまずアルブミンに,一部はアミノ酸,特にヒスチジンなどに結合しているが,その60~90%が吸収後数時間で肝に取り込まれる.しかし,一部はそのままの形で肝を通過し,また,ごく一部は赤血球中に入り,エリスロクプレイン(erythrocuprein)に取り込まれる.全血1l中の赤血球に吸収量の1~2%が取り込まれるといわれる.肝でのCuの取り込みはアルブミンにより阻害され,また,この阻害はL―ヒスチジンにより防がれる2)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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