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文献詳細

雑誌文献

臨床検査34巻11号

1990年10月発行

文献概要

特集 電解質と微量元素の臨床検査ガイド 各論 1 生体に必要な元素

12)マンガン(Mn)

著者: 田中幸夫1

所属機関: 1(カナダ)モントリオール小児病院生化学部

ページ範囲:P.1431 - P.1433

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はじめに
 マンガン(Mn)が生体の機能に必須であることは何十年も知られているが,はたしてどのように作用しているのかについては,あまりよく理解されていない.同じことが,多くの超微量元素についてもいえる.この理由についてはいろいろ考えられるが,まず第一に,絶対量が少ないこと(70kgの人体中に10~20mg程度),さらに正確な分析が容易でなく,コンタミネーションが原因となって誤った分析結果を出しやすいことが主な問題である.また現在最も広く使用されている分析方法(フレームレス原子吸光法)では,組織なり体液中のMn全量を測定するのが精一杯である.したがって,例えば血清蛋白を分離してどのフラクションにMnがどれだけ結合しているのかというようなことを測定できない.この点で銅(Cu)や亜鉛(Zn)とは様子が大変違う.
 Mnの生理作用の機構がよくわかっていないのは,分析法の限度によっているので,将来,感度の向上に伴って機構も徐々に解明されていくと思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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