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文献詳細

雑誌文献

臨床検査34巻11号

1990年10月発行

文献概要

特集 電解質と微量元素の臨床検査ガイド 各論 2 公害性・医原性金属

3)鉛(Pb)

著者: 野本昭三1

所属機関: 1信州大学医療技術短期大学部

ページ範囲:P.1452 - P.1455

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はじめに
 鉛(Pb)の大規模な採掘や加工が始められたのは,西暦紀元前といわれている.融点が327℃と低く,延性に富み,加工が容易であり,しかも表面は空気中で酸化されて薄い酸化被膜を形成するが,これの溶解度が低く内部への腐食を防止する役割を果たすなど,優利な性質を有しているため,金属製品として早くから利用されるようになったことは,容易に推測できる.
 自然界のPbは,主として硫化物(方鉛鉱)として存在しているが,これはPbの化合物のうちで最も水に溶けにくい物質の一つ(<1mg/l)である.炭酸鉛(白鉛鉱),硫酸鉛(硫酸鉛鉱),塩化リン酸鉛(緑鉛鉱)なども白然界でよくみられる化合物であるが,いずれも水への溶解度は低い(40mg/l前後).このような,水に溶けにくい基本的な性質のために,近代工業の時代を迎えるまでは土壌から植物への移行は極めて少なく,水中の濃度は湖や河川の底土中の濃度に比べて著しく低いのが自然であった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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