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特集 電解質と微量元素の臨床検査ガイド 各論 3 ホルモン・生理活性物質
10)カルシトニン(CT)
著者: 稲葉雅章1 金尾啓右2 森井浩世1
所属機関: 1大阪市立大学医学部第二内科 2住友病院アイソトープ検査部
ページ範囲:P.1524 - P.1530
文献購入ページに移動カルシトニン(CT)はその血中Ca低下作用で知られているが,その作用はCTの最も主要な作用とはいい難い.CTは種特異性があり,Ca低下作用が最も強力なのは,下等な脊椎動物のものである.しかし,これらの動物においてCTが血中Ca濃度の調節に働いているという明確な証拠はなく,CTの生理的な役割についてはまだ明らかではない.
CTの存在は,1961年Ca恒常性維持の研究中に見いだされた1).副甲状腺と甲状腺に血液を供給する血管の灌流実験で,高濃度のCaを含む液を灌流させると,その灌流液中に血中Ca濃度を下げる作用を持つ物質の存在が見いだされ,この物質こそが甲状腺のC細胞から分泌されるCTであった.
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