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文献詳細

雑誌文献

臨床検査34巻11号

1990年10月発行

文献概要

特集 電解質と微量元素の臨床検査ガイド 各論 3 ホルモン・生理活性物質

13)副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)

著者: 橋本浩三1

所属機関: 1岡山大学医学部第三内科

ページ範囲:P.1542 - P.1548

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ACTHの産生と生理的作用
 副腎皮質刺激ホルモン(adrenocorticotropic hormone;ACTH)は,下垂体前葉のACTH産生細胞で産生されて血中に分泌されている,39個のアミノ酸から成るポリペプチドで,分子量は約4,500である.下垂体以外にも脳,副腎髄質,胎盤などでACTH様物質が生成されるが,その生理的意義は不明である.また肺,胸腺,膵などの腫瘍でACTH様物質が産生されることがあり,これらは異所性ACTH産生腫瘍と呼ばれている.ACTH産生細胞内では,ACTHの前駆体であるpro-opiomelanocortin(POMC)がまず産生され,酵素によって順次分解されてACTHが生成される.POMCはその構造中にACTHのほかに,N端ペプチド,β-メラニン細胞刺激ホルモン,β-リポトロピン,エンドルフィン,エンケファリンに相当するアミノ酸配列を含み,ACTHとともにそれらのペプチドも血液中に分泌されている.
 ACTHの生理的役割は,文字どおり副腎皮質刺激作用であり,副腎皮質細胞に作用してコレステロールからプレグネノロンへの転換を促進させることにより,各種皮質ステロイドホルモンの生成分泌を刺激する.特に糖質ステロイドであるコルチゾールの分泌促進作用が生理的に重要である.ACTHが長期的に副腎に作用すると,副腎重量の増加作用が認められる.また,副腎外作用としてメラニン細胞刺激作用,血糖降下作用,脂肪組織に対しての脂肪動員作用が知られているが,副腎皮質刺激作用に比較すると生理的意義は低い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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