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特集 電解質と微量元素の臨床検査ガイド 各論 4 結合蛋白
1)トランスフエリン
著者: 木村一郎1
所属機関: 1早稲田大学人間科学部
ページ範囲:P.1549 - P.1551
文献購入ページに移動 トランスフェリン(Tf)はその名のとおり鉄を輸送する蛋白質で,栄養素としての鉄(Fe)を,吸収部位(小腸,細網内皮系など),貯蔵部位(肝臓,脾臓など),そして利用部位(各種細胞,特にヘモグロビン産生細胞など)の間を体液を介して輸送し,各細胞に効率よくFeを供給する1).近年の細胞生物学的研究により,すべての細胞の生存,増殖,分化などにはFeが必須であることが知られるようになった.生体内では細胞へのFeの供与は,すべて細胞膜に存在するTf受容体を介して行われる2).
Tfはアスパラギン残基に結合したN-配糖型の糖鎖(ヘキソース,ヘキソサミン,フコース,シアル酸)を持ち,分子量がおよそ80,000の糖蛋白質(アミノ酸残基数679,糖含量約6%)で,そのペプチド,糖鎖両部分の構造も明らかにされている.N端側半分(N-ドメイン)とC端側半分(C-ドメイン)で高度の相同性がみられ,このことからTf分子は遺伝子重複によって生じたのであろうと考えられている.Tfの等電点はおよそ5~6であるが,それらは糖鎖末端のシアル酸残基数やFeの結合状態,あるいはペプチドの一次溝造によって異なる.電気泳動などによる分析において,一つの個体に異なるTf分子種が検出されるが,それには上記の等電点の違いが原因している.
Tfはアスパラギン残基に結合したN-配糖型の糖鎖(ヘキソース,ヘキソサミン,フコース,シアル酸)を持ち,分子量がおよそ80,000の糖蛋白質(アミノ酸残基数679,糖含量約6%)で,そのペプチド,糖鎖両部分の構造も明らかにされている.N端側半分(N-ドメイン)とC端側半分(C-ドメイン)で高度の相同性がみられ,このことからTf分子は遺伝子重複によって生じたのであろうと考えられている.Tfの等電点はおよそ5~6であるが,それらは糖鎖末端のシアル酸残基数やFeの結合状態,あるいはペプチドの一次溝造によって異なる.電気泳動などによる分析において,一つの個体に異なるTf分子種が検出されるが,それには上記の等電点の違いが原因している.
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