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文献詳細

雑誌文献

臨床検査34巻11号

1990年10月発行

文献概要

特集 電解質と微量元素の臨床検査ガイド 各論 4 結合蛋白

5)メタロチオネイン

著者: 伏見尚子1

所属機関: 1住友病院内科

ページ範囲:P.1562 - P.1565

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はじめに
 生体内には微量金属が含まれ,代謝はされないで,多くは金属酵素として触媒作用を持ち,ないしは酵素の活性化に関与している.足らなくても多すぎても異常事態が生じてくるし,もしなければ生命の維持ができない.また生体の病的状態でも金属濃度の変化が認められる.例えば,肝硬変,肝炎,外傷,感染などでは血中亜鉛(Zn)が低下する1)
 これらの微量金属の吸収,貯蔵,輸送をつかさどるとされているのがメタロチオネイン(MT)で,1957年に初めてValleeら2)により発見された金属結合蛋白質である.この蛋白質は哺乳類から脊椎動物,無脊椎動物,高等植物,キノコ類,海藻,細菌にまで広く分布して,鉄(Fe),銅(Cu),Zn,マンガン(Mn),モリブデン(Mo)などと結合している3).種々の金属やホルモンで誘導合成される.DNAの解析から14種のイソ蛋白があり,疾患によりイソ蛋白の組成が異なるともいわれる4).しかし研究も1980年代からやっと盛んになってきたばかりで,臨床的に使えるにはまだ程遠い.
 本稿ではMTの測定法と臨床的意義について現在までにわかっているところを記したい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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