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文献詳細

雑誌文献

臨床検査34巻11号

1990年10月発行

文献概要

わだい

情報伝達系としてのイオンチャンネル

著者: 小島至

所属機関:

ページ範囲:P.1576 - P.1577

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 体液の電解質組成はほぼ一定に保たれている,このことは,臓器を構成する基本単位である細胞が十分にその機能を発揮するために重要である.
 細胞内では与えられた機能を発揮するためにいろいろな生化学反応が営まれているが,それらの反応が正常に進行するためには細胞内液の電解質組成が厳密に保たれていなくてはならない.これにより細胞の内外を隔てる細胞膜は,イオンが勝手に通過できないようになっている.そして,細胞膜上にはイオンを通過させるトンネルであるチャンネルと呼ばれる蛋白やポンプと呼ばれるイオン汲み出し装置が存在し,これらは調節されて細胞内のイオン恒常性を保っことができるようになっている.一方,生体の恒常性を保つために,細胞は外部からの刺激,例えばホルモンやニューロトランスミッターに反応してその機能を変化させる必要がある.このような細胞外の情報に対応して細胞内に産生される物質をセカンドメッセンジャーと呼ぶが,カルシウムイオン(Ca2+)がこの役割を果たしていることが多い.ホルモンなどの細胞外情報物質は直接または間接的に細胞膜上のイオンチャンネルに作用してその機能を変化させ,細胞内のイオン環境,ことにCa2+の動態を大きく変化させることが知られている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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