icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床検査34巻11号

1990年10月発行

文献概要

わだい

細胞内カルシウム測定の現状

著者: 工藤佳久1

所属機関: 1三菱化成生命科学研究所脳神経薬理学研究室

ページ範囲:P.1585 - P.1586

文献購入ページに移動
 一般に細胞内の遊離カルシウム(Ca)濃度は100nmol/l以下であり,細胞外液における濃度約2mmol/lに比べると圧倒的に低く保たれている.外的な刺激などの動因でCaイオンが細胞外から流れ込んだり,細胞内のCa貯蔵部位から遊離されたりすると,Ca濃度は一気に数倍から数十倍に高まる.そのレベルによって,細胞内に存在するいくつかのCa依存性酵素や機能蛋白質が活性化されるのである.Caはまさに細胞に備えられた多数のスイッチを状況に合わせて入れるための役割を担っているのである.
 この細胞内遊離Ca濃度を知ることは生物機能の本質を解く鍵となるものとされ,生理学や生化学研究の中心的テーマの一つになってきた.これまでにもエクオリンやアルゼナゾⅢなどのCa指示薬が使われてきたが,使いかたが難しく,なかなか一般化しなかった.細胞内に容易に負荷できるように分子設計されたquin 2やfura-2などの蛍光指示薬が登場してから,細胞内遊離Ca濃度の測定が急速に普及したのである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?