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腎臓病の病理・11
血管系疾患(II)
著者: 坂口弘1 緒方謙太郎1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部病理学教室
ページ範囲:P.1650 - P.1657
文献購入ページに移動 溶血性尿毒症症候群,血栓性血小板減少性紫斑病,強皮症における腎病変は,内皮細胞の障害と血管内凝固が関与する,血栓性微小血管障害の中に包括されている.前二者は,臨床的にも病理学的にもその異同が問題となっているが,細・小動脈に血小板血栓が認められ,時に糸球体のフィブリノイド壊死を伴う.強皮症腎は小動脈の,内膜の増殖性肥厚による内腔狭窄と血管収縮がその発症にかかわっている.結節性多発動脈炎における腎障害は,弓状動脈以上のレベルの動脈に壊死性血管炎を生ずる古典型と,細動脈,糸球体を侵す微小型に分けられ,後者の病変は,Wegener肉芽腫症においてみられる病変と病理学的に区別できない.
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