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細菌由来蛋白毒素によるADP―リボシル化作用
著者: 野田公俊1
所属機関: 1千葉大学医学部微生物学
ページ範囲:P.1661 - P.1663
文献購入ページに移動レセプターにアゴニストが結合すると,その情報は種々の様式で細胞内に伝達されるが,レセプターとエフェクターとの連係にGTP結合蛋白質(G蛋白質)が介在する.膜結合性酵素のアデニレートシクラーゼの調節系はよく知られているが,そのうちGsとGiはそれぞれ,コレラ毒素と百日咳毒素によってADP一リボシル化されるG蛋白質としてみつけられたものである.その他のG蛋白質もそれぞれの細菌毒素によってADP-リボシル化されることでみつけられたといっても過言ではない.図1に,ジフテリア毒素を例にあげ,ADP-リボシル化を説明した.ジフテリア毒素は細胞の蛋白合成を阻害するが,それにはNADが必須である.ジフテリア毒素は,NADをADP-リボース部分とニコチンアミド部分に切断した後,前者を蛋白質合成に必須なペプチド伸長因子2(elonga-tion factor 2;EF-2)に特異的に転移させる酵素活性をもっている.このADP-リボース部分を転移させる反応をADP-リボシル化という. ADP-リボシル化されたEF-2は失活し本来の機能を失い,その結果蛋白合成が阻害されることになる.
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