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文献詳細

雑誌文献

臨床検査34巻13号

1990年12月発行

文献概要

今月の主題 細胞接着因子 話題

血管内皮白血球接着物質

著者: 長谷聖美1 青木洋祐1

所属機関: 1国立公衆衛生院栄養生化学部

ページ範囲:P.1762 - P.1763

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 骨髄で産生され末梢血中に遊出した白血球は血管内皮細胞と相互作用して組織へ遊走し,さまざまな働きをする.したがって血管内皮細胞は白血球機能の調節因子の一つと考えられる.血管内皮細胞は白血球に対する種々の接着因子を発現しており,その構造と機能がしだいに明らかになっているので最近の知見を紹介する.
 好中球とリンパ球を接着するのはintercellularadhesion molecule-1(ICAM-1)である.この分子は細胞外ドメイン,膜結合ドメイン,細胞質ドメインからなるが,細胞外ドメインには5個のイムノグロブリン様ドメインが含まれており,イムノグロブリンスーパーファミリーに属する1).ICAM-1のリガンドはリンパ球と好中球の表面に出ているlymphocyte function-associated molecule―1(LFA-1)というインテグリンに属する分子である.ICAM-1は内皮細胞のみならずリンパ球にも発現しておりLFA-1をリガンドとしてリンパ球の凝集も起こす.また,白血球遊走因子で好中球を刺激すると,好中球上のLFA-1ではなく同じくインテグリンに属するMac-1がICAM-1のリガンドとなる.ICAM-1の発現は,IL-1, TNF―α,IFN―γで増強され48時間以上発現増加した状態が続く.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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