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文献詳細

雑誌文献

臨床検査34巻13号

1990年12月発行

文献概要

TOPICS

血管新生因子

著者: 今村亨1

所属機関: 1微生物工業技術研究所動物細胞研究室

ページ範囲:P.1779 - P.1780

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 個体の発生や予宮内膜の周期的成熟などの生理的局面,また固形腫瘍の成長や炎症などの病理的局面では,新たな血管の造成が活発に起こる.この現象を血管新生と呼び,通常,それを引き起こす(している)物質を総称して血管新生因子という.
 血管新生因子のうち単一物質として同定されたものには,ポリペプチド成長因子〔Heparin―Binding Growth Factor (HBGF)-1:acidicF―GF, HBGF-2:basicFGF,血小板由来血管内皮細胞成長因子,Transforming Growth Factor―α,βなど〕,Tumor Necrosis Factor,アンジオジェニン,ヘパリンなどの多糖類,プロスタグランジン,ニコチンアミド,銅イオンなどまで,幅広い物質がある.これらすべては,ni vivoのアッセイ系であるハムスターのほお袋やウサギ角膜に試料を投与したときに血管新生を引き起こすという意味で,確かに血管新生因子と呼んでもよいかもしれない.しかし,ある試料を投与したときの生体の反応というのは,その直接作用だけでなく,生体を構成する他の成分や細胞を介した二次的,三次的作用などをつねに含むので,これらの物質すべてが直接的に血管造成作用を有するのか否かは,にわかにはわからない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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