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文献詳細

雑誌文献

臨床検査34巻2号

1990年02月発行

文献概要

今月の主題 補体系 話題

補体制御膜蛋白

著者: 西岡雄一1

所属機関: 1東京大学医学部附属病院物療内科

ページ範囲:P.202 - P.203

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 酸性条件下での赤血球の易溶血性をみる検査として,Ham試験(酸溶血試験)がある.これは,赤血球が,補体に対する感受性の亢進した状態にあることを示す検査であり,発作性夜間血色素尿症(PNH)の診断にもっとも有用と言われている.PNHは,発作性あるいは慢性に血管内溶血を示す,後天性溶血性疾患である.造血細胞の中に生じた突然変異により細胞膜に異常をきたす結果,赤血球のみならず,顆粒球,リンパ球,血小板に及ぶまで補体に対する感受性が亢進する.このため時として溶血性貧血のみならず,顆粒球減少,血小板減少などの,汎血球減少症を呈することがある疾患である.
 最近の臨床検査の面での補体学の進歩は,細胞膜表面上に,活性化補体の障害作用を防ぐ,補体制御因子が存在することを明らかにしたことであり,かつ,この膜表面補体制御蛋白がPNHの細胞膜表面上において欠損しているということを示すことができたことである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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