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文献詳細

雑誌文献

臨床検査34巻2号

1990年02月発行

文献概要

TOPICS

不安定HbA1C

著者: 中島弘二1

所属機関: 1聖路加看護大学

ページ範囲:P.216 - P.217

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 糖尿病の血糖コントロールの指標として広く使用されているグリコヘモグロビン(HbA1C)は2段階の非酵素的反応により形成される.グルコースはまずヘモグロビンAのβ鎖のN末端のバリンとシッフ結合し不安定HbA1Cとなるが,これは可逆的反応で,さらにアマドリ転移して不可逆的な安定HbA1CとなるものとグルコースとヘモグロビンAとに分解するものとがある.不安定成分は採血時の血糖値により変動し,さらに採血後時間とともに低下する.そのため過去の血糖値の指標としては不安定成分を除いて安定HbA1Cのみ測定することが望ましい.
 安定HbA1Cのみを測定する方法として,エレクトロフォーカシング法,比色法,アフィニティークロマトグラフ法などが報告されているが,現在もっとも広く使用されているHPLCに比べ検体処理能力,安定性など問題がある.HPLC法においては不安定成分のピークは安定成分のピークの前に出現するためピークを区別して測定することができる.しかしそのために長時間(12分以上)かけてクロマトをしなければならず,カラムの能力をつねに最高に保たねばならない.不安定成分をカラムにかける前に除く前処理をしてHPLC法で短時間(4分以内)に分析する方法が現時点では実用的であろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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