今月の主題 呼吸機能検査
病態解説
慢性閉塞性肺疾患
著者:
本間請子1
丸茂一義2
福地義之助3
所属機関:
1東京警察病院循環器センター
2東京警察病院内科
3東京大学医学部老年病学教室
ページ範囲:P.311 - P.317
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慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD, chronic obstructivelung disease:COLD)は,気道閉塞を共通の病態とする疾患の総称として用いられてよいとする傾向であるが,含まれる疾患には慢性肺気腫,慢性気管支炎,びまん性汎細気管支炎および慢性化した気管支喘息がある.各疾患で気道閉塞を示す病巣部位が異なり,それぞれ特徴的な臨床像を呈する.肺気腫の基本病態は壁の破壊を伴った肺胞道および肺胞嚢の拡大であり,これが広範に生ずるため,症状としては息切れが主体となる.慢性気管支炎では気管支腺の肥大により気道分泌が亢進した状態であり,持続性,反復性の咳嗽・喀痰が主症状である.びまん性汎細気管支炎の場合は,病態は呼吸細気管支炎および呼吸細気管支周囲炎であり,咳嗽および呼吸困難が初発症状となる.気管支喘息においては気道の反応性亢進を特徴とし,気管支平滑筋攣縮,気道粘膜浮腫,気道分泌亢進をきたすが,これらの程度が変化しうるところから,発作性の喘鳴,呼吸困難,咳嗽,喀痰が主症状となる.いずれの疾患においても症状の進展度に従い,呼吸機能検査では閉塞性障害が主体をなし,動脈血ガス分析では低酸素血症,さらに重症に向かうに従い炭酸ガス蓄積傾向を示す.