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文献詳細

雑誌文献

臨床検査34巻3号

1990年03月発行

文献概要

TOPICS

アンチトロンビンⅢ欠乏症

著者: 小濱寛也1 丸山征郎1

所属機関: 1鹿児島大学第三内科

ページ範囲:P.345 - P.346

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 アンチトロンビンⅢ(ATⅢ)は,血中濃度が22~30mg/dlのセリンプロテアーゼインヒビターである.ATⅢは432個のアミノ酸からなり,分子量は55000で,凝固系のそのほかのインヒビター,α1アンチトリプシン,C1インヒビター,ヘパリンコファクターⅡなどと一次構造上25~30%の相同性を示すことから,serpin (serine proteaseinhibitor)とよばれるようになった1)
 serpinのなかで最も重要なものはATⅢで,活性化プロテインC,第ⅩⅢ因子以外のほとんどの凝固系のプロテアーゼを阻害するが,特徴的なことは,その阻害作用がヘパリンによって著しく増強される点である.ATⅢのArg (47)周辺がヘパリン結合部位で,ここにヘパリンが結合するとATⅢの三次構造が変わり, Arg (393)―Ser (394)にトロンビンをはじめとする活性化凝固因子が結合しやすくなると想定されている.生体内では,血管内皮細胞上のヘパリン様分子によってATⅢは即時型のインヒビターに変わるものと考えられ,この意味ではATⅢも,ちょうどプロテインCの活性化が血管内皮細胞上のトロンボモジュリンと結合したトロンビンに依存性であるのに似て,血管内皮細胞依存性である.ATⅢは,ヘパリンによって活性が1000倍以上も増強するためヘパリンコファクターともよばれるが,血中にはヘパリンコファクターⅡ(HCⅡ)というserpinも存在する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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