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マイクロ波サーモグラフイ
著者: 前田隆志1
所属機関: 1日本医科大学第二外科
ページ範囲:P.347 - P.348
文献購入ページに移動 生体内部からは,その温度により定まった熱エネルギーを有する電磁波が放射されている.マイクロ波は周波数数百MHz~数十GHzの電磁波であり,物質透過性を有している.電磁波はその周波数によって組織の浸透度は異なり,周波数が上昇するに従って透過性は減少する(図1).この原理に基づいて,生体内部から放射されるマイクロ波領域の熱エネルギーを計測することにより,より深部の温度測定が可能となる.このようにして生体内部の温度をマイクロ波領域で計測するものをマイクロ波サーモグラフィ(以下,MWTと略す)という.
現在,臨床に応用され普及しているサーモグラフィとして赤外線サーモグラフィ,液晶コンタクトサーモグラフィがある.これらは組織における血流や代謝により産生され,皮膚表面に伝導された熱の温度分布を画像としてとらえ,診断する方法である.これに対し,MWTは外的環境の変化に影響されず,より深部の温度変化をきたす病変(癌や脈管疾患など),またはその近傍の温度情報を無侵襲に直接得ることが可能であり,生体表面の温度情報しか得られない従来のサーモグラフィとはこの点で大きく異なる.すなわち,同じ電磁波である赤外線はγm単位の組織浸透度しかないのに対し,1~100GHzのマイクロ波は200γm~17cmの深さの温度情報を得ることができる.ただし,放射されるそのエネルギーは赤外線より微弱であるため,高感度で安定性の高いラジオメータが必要である.
現在,臨床に応用され普及しているサーモグラフィとして赤外線サーモグラフィ,液晶コンタクトサーモグラフィがある.これらは組織における血流や代謝により産生され,皮膚表面に伝導された熱の温度分布を画像としてとらえ,診断する方法である.これに対し,MWTは外的環境の変化に影響されず,より深部の温度変化をきたす病変(癌や脈管疾患など),またはその近傍の温度情報を無侵襲に直接得ることが可能であり,生体表面の温度情報しか得られない従来のサーモグラフィとはこの点で大きく異なる.すなわち,同じ電磁波である赤外線はγm単位の組織浸透度しかないのに対し,1~100GHzのマイクロ波は200γm~17cmの深さの温度情報を得ることができる.ただし,放射されるそのエネルギーは赤外線より微弱であるため,高感度で安定性の高いラジオメータが必要である.
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