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今月の主題 結核菌と非定型抗酸菌をめぐって 話題
―抗酸菌の迅速同定―ポリメレース・チェイン・リアクション(PCR)の応用
著者: 永井良三1 和田昭仁1 竹脇俊一1 大久保昭行1
所属機関: 1東京大学医学部臨床検査医学教室
ページ範囲:P.429 - P.431
文献購入ページに移動抗酸菌は分裂速度がきわめて遅く,分離と同定には4~8週間が必要である.そのため臨床的に結核症が疑われても治療方針の決定が遅れるケースも多い.また非定型抗酸菌は抗結核剤に感受性をもつものともたないものとがあり,できるだけ迅速に菌種を同定しなくてはならない.このような問題にアプローチする新しい方法として,DNAプローブを用いた診断法が導入されつつある.すでにGen-Probe社からはDNA-RNAハイブリダイゼーション法による抗酸菌同定キットが臨床応用されており,優れた成果を上げている.DNA-RNAハイブリダイゼーション法の問題点としては,現在125I標識したプローブを用いているためアイソトープ管理が必要であること,臨床検体からの抗酸菌の直接検出が必ずしも可能でないことが挙げられる.
一方,われわれは新しい遺伝子工学的手法として最近開発されたポリメレース・チェイン・リアクション(PCR)を抗酸菌DNAの検出に応用し,いくつかの興味深い結果が得られているのでここに紹介させていただく.
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