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文献詳細

雑誌文献

臨床検査34巻4号

1990年04月発行

文献概要

TOPICS

石綿の健康リスク

著者: 細田裕1 冨田眞佐子2

所属機関: 1放射線影響研究所 2JR東日本中央保健管理所

ページ範囲:P.472 - P.473

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1.石綿はなぜ使われるのか
 最近,石綿の環境汚染がマスコミをにぎわしている.石綿は繊維状の鉱石で,広く使われる種類はクリソタイル(白石綿),クロシドライト(青石綿),アモサイト(茶石綿)である.人類との出合いは古いが,多量に使われはじめたのは産業革命以後である.石綿は耐熱性,耐磨耗性,酸アルカリ耐性,防音性にすぐれているため多目的に使われ,わが国の年間輸入は20万トンあまりである.主に建築用として壁,天井,屋根材などに使われ,病院内でも古い建物だとボイラー室,配管設備などに石綿が潜んでいる.自動車や列車のブレーキにも用いられる.石綿スレートのように固められている場合は,取り付け,除去以外に石綿粉じんは飛散しないので危険はないが,吹付石綿天井のような場合には空中に舞う危険がある.石綿曝露は採掘,製造,加工など職業的なものから,素人の末端使用者にまで及んでいる.このうち,悪性腫瘍のリスクが著しく高いのは職業性曝露である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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