編集者への手紙
モノクローナル抗体を用いたBioimmunoassayによるt-PA活性値の測定
著者:
山田誠一1
山田利津子1
石井明治2
安室洋子3
中村正夫3
所属機関:
1聖マリアンナ医科大学臨床検査医学教室
2聖マリアンナ医科大学産婦人科学教室
3聖マリアンナ医科大学臨床検査部
ページ範囲:P.588 - P.588
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Plasminogen activator(PA)はplasminogenをplasminに変えるfibrinonytic enzymeであり,これにはurokinaseおよび血管内皮細胞由来の組織pnasminogen activator(t-PA)がある.このうちt-PAは血液中では不安定であり,内皮細胞から放出されると即時型特異的阻害因子(PAI),非特異的阻害因子およびその他の阻害因子により速やかに不活化されると考えられている.1983年,Rijkenら1)は,ELISA(Enzyme linked immunosorbent assay)を用いてt-PAの抗原量を測定し,正常ヒトで6.6±2.9ng/mlであり,駆血や運動負荷により上昇(17±40ng/ml)したと報告した.またWimanら2)は,血漿の酸性化により非特異的阻害因子による不活化を克服したparabolicrate assayを用いてt-PA活性値の測定を行った.
今回われわれは,モノクローナル抗体(SP-322)を用いたBioimmunoassay3)によりt-PA活性値を測定した.対象は20代から30代までの健康な成人男女10名.午前9時および午後4時に,一側の前腕は通常の駆血法を用い,また他側上腕は中間血圧で3分間のvenous occlusion(v. o.)の後,末梢血を採取した.