文献詳細
文献概要
TOPICS
乏精子症
著者: 守殿貞夫1
所属機関: 1神戸大学泌尿器科
ページ範囲:P.592 - P.594
文献購入ページに移動 乏精子症という用語は男性不妊を表徴する代表的な病態とされ,その診断は精子濃度(精子数/ml)の低下を指標として行われている.この乏精子症,すなわち精子濃度の異常低値は,男性の授精能の低下を最もよく反映するものとして用いられてきた.しかし,乏精子症の診断基準(授精可能限界値)は時代や報告者によりまちまちで,10~60×106/mlと広範囲にわたっており1),近年もその基準に変化がみられる.このような変動は,授精能を精子濃度のみから規定しようとする点に起因するのであろうか.乏精子症についてこの点を含め,最近の新しい診断方法,ならびにやっと世界的に一定の見解に達したものと思われるその診断基準について述べる.
精液所見を正しく評価するには,精液の採取法からして一定の約束が守られなければならない.検体が医師の指示どおり採取されているか,射出精液の前半(精子を多く含んでいる)を漏らさなかったか,禁欲期間が守られ,採取後検査まで20℃以上,体温以下に保たれていたか,などである.また,従来の乏精子症の診断基準は病院を受診した実子を有する多数例を対象とし,授精可能限界値を設定してそれ未満のものを乏精子症としてきた.しかし,過去に実子を有していても現在も授精能があるとは言いきれないことから,確実に授精能を有する男性とは配偶者が妊娠3か月目までの男性とされる.
精液所見を正しく評価するには,精液の採取法からして一定の約束が守られなければならない.検体が医師の指示どおり採取されているか,射出精液の前半(精子を多く含んでいる)を漏らさなかったか,禁欲期間が守られ,採取後検査まで20℃以上,体温以下に保たれていたか,などである.また,従来の乏精子症の診断基準は病院を受診した実子を有する多数例を対象とし,授精可能限界値を設定してそれ未満のものを乏精子症としてきた.しかし,過去に実子を有していても現在も授精能があるとは言いきれないことから,確実に授精能を有する男性とは配偶者が妊娠3か月目までの男性とされる.
掲載誌情報