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文献詳細

雑誌文献

臨床検査34巻6号

1990年06月発行

文献概要

TOPICS

マクロファージのスカベンジャー受容体と動脈硬化

著者: 浅岡等1

所属機関: 1国立健康・栄養研究所

ページ範囲:P.744 - P.745

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 動脈硬化病巣においては泡沫細胞といわれるコレステロールエステルを大量に貪食した細胞が存在している.泡沫細胞は集ぞくしてfatty streakとなり,さらにatheromatous plaqueを形成して,血管の狭窄,閉塞を引き起こすことになる.泡沫細胞はマクロファージが血中のコレステロールを取り込んで形成されると考えられており,そのコレステロールはLDL (低比重リポタンパク質)由来と考えられている.
 マクロファージでは,LDL受容体はほとんど発現しておらずに,代わりに陰性荷電の増しているリポタンパク質,例えば酸化LDLやアセチルLDLを取り込む活性が高度に上昇している.LDL受容体の発見者であるBrownとGoldsteinらは,1979年にマクロファージのアセチルLDL/スカベンジャー受容体(スカベンジャー受容体と略す)が変性LDLと結合し,取り込むことによって泡沫細胞化し,動脈硬化が発症するというスカベンジャー経路仮説を提唱した.その後10年間にわたり,スカベンジャー受容体の重要性を示すデータが蓄積してきたが,スカベンジャー受容体の実態が不明であることや,多様な陰性荷電を持つ巨大分子でスカベンジャー受容体機能が阻害されることなどにより,単一の受容体機能であるのか,それともマクロファージの持つ貪食能の一部なのか不明の点が多かった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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