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文献詳細

雑誌文献

臨床検査34巻8号

1990年08月発行

文献概要

今月の主題 レセプター 巻頭言

レセプター研究の歴史と展望

著者: 尾形悦郎1

所属機関: 1東京大学医学部内科学第四講座

ページ範囲:P.887 - P.888

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 受容体研究,この場合正確にはホルモン受容機構研究はfactとconceptとの間の鎬の削りあいを通して発展してきたとも言えよう.
 1942年,F.Albrightは当時使用可能となった副甲状腺ホルモンにより副甲状腺機能低下症患者の補充療法を試み,その一例でこれが失敗に終わったことより,この患者の副甲状腺機能低下症の病態は副甲状腺ホルモンの不足によるのではなく,このホルモンに対する受容機構の障害であるというconceptに達した.ここには,副甲状腺ホルモンが使用可能となったという事実,およびこの症例においてのみそれに対する反応が得られなかったという事実が中心となっている.さらにこのconceptの源流としては,今世紀始め頃から気が付かれていたチャボの一種Seabright-bantamをめぐるconceptがあった.すなわちこのチャボは雄でありながら雌の表現型をとる.したがって男性ホルモンに対し末梢の標的組織が十分に反応しないと考えられた.この考えを敷衍して,ホルモン不全症の中には,ホルモンに対する不応状態があるというconceptがあった.1950年代に入り,ホルモン作用機構の研究が進み,1960年までにホルモン作用機構においてホルモン受容体とそれに引き続き産生される細胞内second-messengerの一つとしてcAMPの意義が確立した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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