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文献詳細

雑誌文献

臨床検査34巻8号

1990年08月発行

文献概要

TOPICS

D型肝炎

著者: 岩波栄逸1 矢野右人1

所属機関: 1国立長崎中央病院臨床研究部

ページ範囲:P.985 - P.986

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 1977年,イタリアのRizzettoらは,HBVキャリアの肝細胞核内にHBc抗原とは異なった新しい抗原抗体系を発見,δ(デルタ)抗原と命名し報告した1).当初,このδ抗原はHBV関連マーカーの1つでHBc抗原の亜型と考えられていたが,1980年,δ抗原陽性患者の血清によるチンパンジーへの感染実験で,HBVとは別の感染因子(δ因子)として肝炎を発症させることが実証された2).後に,このδ因子は,HBs抗原を外被として,core部分がHBc抗原の代わりにδ抗原とRNAゲノムに置換された構造をもつウイルス粒子で,さらにこのRNAゲノムは不完全なため増殖にはHBVの補助機能を必要とすることもわかった.したがって,δ因子はHBVと常に共存することになる.
 1989年,米国カイロン社から発表されたC100抗体は,従来非A非B型と分類されてきた肝炎の大半に検出され,C型肝炎の位置付けが明確となった今日,肝炎はA型,B型,C型,このδ因子によるD型,および東南アジアで流行性に水系感染するとされるE型,に分類されるに至った.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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