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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査35巻1号

1991年01月発行

雑誌目次

今月の主題 肝炎ウイルス関連マーカー

巻頭言

ウイルス肝炎研究の新しい展開

織田 敏次

pp.7-8

 肝炎はウイルスによる感染症である,と認識するようになったのが1941年,北海道大学の小児科,弘教授(当時講師)の小児に対する感染体験に始まるものであった.急性肝炎患者の血清から,ベルケフェルド板を通して得られた濾液がその場合,感染源に用いられた.したがって,細菌よりは小さな病原体ほどの感覚しか当時はなかったはずである.

 ウイルスも濾過性病原体といわれていた時代はともかく,その病原体にDNA,RNAを確認することができた時点から,われわれの関心はにわかに一変する.これが最小の生命担体として浮かび上がってくる.したがって研究方法も一躍,分子生物学のモデル的寵児にのし上がっていく.

解説

ウイルス肝炎の臨床とそのマーカーの意義および型別診断

飯野 四郎

pp.9-14

 ウイルス肝炎は原因ウイルスがA型,B型,C型,D型,E型まで決定され,E型を除いて,マーカーによる診断がほぼ可能になっている.ここでは各型の肝炎の主要な臨床像,ウイルス像を紹介し,それを基に各ウイルスマーカーの意義を述べ,最後に急性および慢性の肝炎のマーカーによる鑑別をまとめた.なお,C型肝炎に関しては今後,数々の測定系が出現すると予想されるが,その特性を見極めることが必要と思われる.

HCV遺伝子

米 佳子 , 三浦 力 , 有馬 暉勝

pp.15-19

 長い間除外診断に依存していた非A非B型肝炎の診断も,C型肝炎ウイルス(hepatitis C virus; HCV)の遺伝子の断片がクローニングされて以来,急速に研究が進み,HCV抗体による特異的な抗体診断が可能となった.さらに,HCV遺伝子の詳細な解析が行われるなかで,HCVはフラビウイルスに類似するRNAウイルスであり,きわめて変異を起こしやすいウイルスであることも明らかにされた.HCV抗体のみによる診断には限界もあり,polymerase chain reaction (PCR)法を用いたHCV遺伝子を直接証明するゲノム診断も可能となった.

技術解説

抗HAV抗体

佐田 通夫 , 谷川 久一

pp.20-25

 A型肝炎の診断は,血清中に出現するIgM抗HAV抗体の有無をみることによって行われる.この画期的な血清診断法によって患者の早期発見,迅速な予防対策などが行えるようになった.抗HAV抗体にはIgA,IgG抗体の存在も知られており,IgA抗HAV抗体は血中に存在するばかりでなく,分泌型抗体として消化管粘膜局所における感染防御抗体として,血中のIgG抗HAV抗体は長期に持続するウイルス感染防御抗体としての重要な役割を担っている.

 これらの抗HAV抗体の反応は,A型肝炎の病態によって異なることがあり,今後の,より詳細な検討が必要である.

HBs抗原サブタイプ

熊田 博光 , 小林 万利子

pp.26-30

 HBs抗原は表面抗原のアミノ酸配列において122番目のdとy,160番目のwとrの相互な組み合わせからadr,adw,ayr,aywの4つのサブタイプに分類されている1,2).このサブタイプは,民族学的意義を持つもので世界各地で異なり,日本国内においても西日本では,adr優位,東日本では,adw優位となっている3).最近では,この4つのサブタイプ以外にadwr,adyrなどのcompond型サブタイプも存在することが明らかになった4~6).さらにこのHBs抗原を経過観察していくと変化する症例が認められる7,8).また,同一家系内においてもサブタイプが異なる家系も存在するなど9)サブタイプに関する話題は多い.ここではHBs抗原サブタイプをめぐる話題について述べる.

HBc抗体

井上 長三 , 矢野 右人

pp.31-33

 B型肝炎ウイルス(HBV)関連マーカーであるHBc抗体にはIgM型,IgG型HBc抗体があり,ウイルス特異性が優れている.急性B型肝炎では,IgM型HBc抗体は発症12週までは陽性である.IgG型HBc抗体はIgM型HBc抗体陰性化後も陽性持続し,長期にわたり低力価~中力価陽性を示す.臨床的には,初感染のB型急性肝炎か,B型肝炎ウイルスキャリアからの急性肝炎様発症かの鑑別が重要である.検出感度が鋭敏な測定法では,急性初感染のみならずB型慢性肝炎急性再燃でもIgM型HBc抗体が検出され,両者の鑑別は必ずしも容易ではない.測定手段を吟味,考慮し,この鑑別のため調整されたキットを用いることが有用である.

HCV抗体検査

吉原 なみ子

pp.34-38

 非A非B型肝炎ウイルスは基礎および臨床の肝炎研究者が切望していたが永年発見されなかった.1988年にウイルスの遺伝子が解明され(ウイルス粒子は電子顕微鏡下ではまだみつかっていない),それを遺伝子クローニングで発現させた蛋白に対する抗体測定系が開発された.HCV抗体検査は献血血液のスクリーニングや臨床においてC型肝炎の診断に幅広く用いられるようになった.現在の抗体検査は急性肝炎の初期診断には適さないこと,抗体陰性例でもpolymerase chain reaction (PCR)法などによりC型肝炎例があること,偽陽性例があることなど問題点がある.それらの点を理解したうえで使用する必要があろう.

肝生検組織の肝炎ウイルスマーカーの検出

高口 浩一 , 岩崎 良章 , 下村 宏之 , 水野 元夫 , 山田 剛太郎 , 辻 孝夫

pp.39-43

 肝生検組織を使用した肝炎ウイルスの検出は,B型肝炎ウイルス(HBV)については,蛍光抗体法および酵素抗体法により1970年代より盛んに行われている.1970年代にはHBc抗原およびHBs抗原に対するポリクロナール抗体を用いた肝内局在の検討が行われていたが,遺伝子工学の発展により最近ではモノクローナル抗体が容易に使用できるようになり,また望みのペプチドが容易に作成できるようになった.またHBV-DNAの解析が進んだことにより,HBV関連抗原として従来知られていたHBs抗原,HBc抗原に加え,新たにpre-S1,pre-S2抗原,X抗原などが染色されるようになった.現在,当教室で行われている酵素抗体法と蛍光抗体法の実際を紹介し,免疲実験法の基本操作と理論のマスター,さらには各施設にあった実験機器やそれに用いる小道具の工夫が重要であることを記載した.

2’,5’-オリゴアデニル酸合成酵素

西口 修平 , 小林 絢三

pp.44-49

 2’,5’-オリゴアデニル酸合成酵素(2-5AS)は,インターフェロン(interferon;IFN)によって細胞内に誘導される酵素であり,IFNの抗ウイルス作用発現に重要な役割を果たしている.血中のIFNは,速やかに消失することから,生体の抗ウイルス状態の把握のためには,2-5AS活性が指標として用いられている.本酵素はウイルス感染症のみならず,SLE,Behcet病などでも,高値を呈する.さらに,2-5ASは,IFNに対する個体の反応性や,IFN投与時の抗ウイルス活性の評価をするうえで重要なマーカーである.近年,RIAを用いた測定法が開発され,血清中の2-5AS活性の測定が可能となった.従来の末梢血単核細胞に比べ,測定が容易になったため,今後臨床検査として汎用され重要性が増すものと思われる.

話題

重合ヒトアルブミンレセプターとHBV感染

折戸 悦朗 , 溝上 雅史

pp.50-53

 重合ヒトアルブミンレセプターによって,B型肝炎ウイルスの血中での運搬と標的細胞への結合を説明したアルブミンレセプター仮説は,生理的にはほとんど存在していない状態のアルブミンを用いるなどのためこれを否定する報告もあり,必ずしもこのウイルスの臓器侵入のメカニズムは解明されたとは言えない.しかし,これを1つの手がかりとして,このメカニズムと重合アルブミンレセプターの真の意味が追求されなければならない.

pre-S抗原とHBx抗原

林 紀夫 , 片山 和宏 , 鎌田 武信

pp.54-56

 B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus; HBV)の増殖機構が解明されるにつれ,従来の増殖マーカーであるHBe抗原やHBc抗体などに加え,より正確にその増殖動態を把握できるようになりつつある.pre-S抗原はHBV増殖に先立って増加するため,その動態を早期に診断しうる可能性がある.またHBx抗原は,HBV増殖を制御していると考えられ,その時点の増殖活性を判定しうるものと期待される.

輸血後非A非B型肝炎とその予防

吉澤 浩司 , 野尻 徳行 , 高橋 和明

pp.57-60

 C型肝炎ウイルス(hepatitis C virus; HCV)関連のC100-3抗体測定系が開発された結果,C型肝炎の特異的な診断,予防への第一歩が踏み出されようとしている.現在の測定系は,HCV関連の第一世代のマーカーとも言えるものであるが,本文中に述べるGOR抗体をはじめとする新しい測定系の開発などにより,C型肝炎もやがてはB型肝炎のようにその全貌がとらえられ,輸血に伴う感染が制圧される日も近いと期待される.

カラーグラフ

肝臓の発生,構造と機能および外形の異常

奥平 雅彦 , 大部 誠 , 二上 玲子

pp.4-6

図1成人正常肝の外景

 一酸化炭素中毒死亡例.肝表面の名称については本文中の図2を参照されたい.肝臓の形態は細かくみると人相のように各個体により異なるが,この例はほぼ標準的な形態である.

肝臓病の病理・1

肝臓の発生,構造と機能および外形の異常

奥平 雅彦 , 大部 誠 , 二上 玲子

pp.64-70

 肝臓は生体内における最大の腺臓器で,1つしかなく,生存に不可欠である.肝臓病の病理と題するシリーズを始めるにあたり,まず肝臓についての基礎知識として,発生や脈管系を中心とした解剖学,さらに,機能や臓器特性について略述した。肝臓という臓器についての理解に役だてば幸いである.また,病理解剖に際して,肝臓を取り出したおりに観察される肝臓の外景異常について示説した.

TOPICS

自己免疫性肝炎におけるHCV抗体陽性

池田 有成 , 戸田 剛太郎

pp.72-73

 自己免疫性肝炎は,ウイルスや薬剤による肝障害とは異なる自己免疫機序により生じる慢性の肝疾患の1つとされている.しかし,Chiron社により開発され,C型肝炎ウイルス(HCV)感染に特異的なアッセイ法とされているHCV抗体が高率に陽性であることから,HCVが,その原因である可能性が考えられるようになった.HCV抗体の測定法にはEIA法とRIA法とがあり,自己免疫性肝炎ではEIA法で測定した場合は62%,RIA法は25%で陽性であったとの報告もある1).しかし,陽性とはいえ,輸血後慢性肝疾患と比べてその抗体価が低力価(EIA法でのOD値が2.0未満)の症例が多いこと1),血中γ―グロブリン値と高い相関(図1)を認めること,ステロイド治療に伴い低下することなどから,HCVの感染とは無関係な抗体もしくは非特異的なIgGの結合を検出しているという見方が有力となっている2)

 HCV抗体の検出には組み換え型ヒトースーパーオキシドジスムターゼ(SOD)とHCVの非構造部分由来のC100-3蛋白との融合ペプチドが抗原として用いられている.自己免疫性肝炎ではSODに対する抗体が高率に検出され,HCV抗体価と相関を認めている(図2))3).したがって,HCV抗体のアッセイ系において,SODに対する抗体をも検出している可能性が考えられる.

細胞膜の糖の移送―糖輸送担体

岡 芳知

pp.73-74

 ブドウ糖は生体のエネルギー源としてもっとも重要な物質であり,その代謝異常の代表である糖尿病とは,ブドウ糖の細胞での利用が障害され,その結果としてブドウ糖が血中にとどまり血糖値が上昇した病態と考えることができる.

 細胞で糖が利用されるためには,リン脂質の二重層から成る細胞膜をまず通過しなければならないが,ブドウ糖は水溶性の物質であり,一種の油の層である細胞膜を迅速に通過することはできない.そこで,細胞膜にはグルコーストランスポーター(糖輸送担体)と名づけられたブドウ糖輸送蛋白が存在して,ブドウ糖の細胞膜での移送を介在している.すべての細胞にはブドウ糖を取り込む機構が必要であるので,糖輸送担体もすべての細胞に存在する.

P 170(P―糖蛋白)

大川 二朗

pp.74-75

 癌化学療法の進歩により,抗癌剤によって癌がほとんど完全に消失するような症例が散見されるようになってきた.しかし,最初は抗癌剤がよく効いていてもしだいに薬剤耐性の癌細胞が出現してくる.

 治療をさらに困難にするのは,癌細胞が最初に用いた抗癌剤に対して耐性を示すばかりでなく,構造的に関連のないほかの抗癌剤に対しても交差耐性を示すようになることである.この現象は多剤耐性(multidrug resistance; MDR)とよばれている.

慢性肝炎におけるシアリルルイスX

辻 孝夫 , 岡田 良雄

pp.76-77

 細胞膜表面および分泌蛋白質の糖鎖表原型が細胞の悪性化に伴って変化することが知られている.その一部はいわゆる癌特異抗原としてすでに癌の臨床診断に応用されている.

 私たちは肝癌における糖鎖抗原の異常の研究中,担癌患者の非癌肝硬変組織の肝細胞が糖鎖抗原シアリルルイスX(以下SLEX)を細胞膜表面に発現していること(Am. J. Pathol.,130, 384~392,1988)を観察した.後にこの糖鎖抗原は正常肝では発現されておらず慢性肝炎では肝の組織障害の程度に応じて発現が増強されること(J. Hepatl.,30, 1~7, 1990),肝癌ではほとんど発現されていないことを明らかにし細胞の糖鎖構造の変化が単純に胎児性抗原の再発現という従来の概念では捉えきれないことを示唆した.この観察はまた「細胞の悪性化を伴わない糖鎖抗原の変化とその生物学的意義」という新しい問題を提起していた.

HCVと肝癌

樋野 興夫

pp.77-78

1.はじめに

 アメリカのベンチャービジネスであるChiron社が,1988年C型肝炎ウイルス(hepatitis Cvirus;HCV)を発表して以来,日本人研究者のHCV研究に対する取り組みは,すさまじく一種の洪水的現象であると言っても過言ではない.もちろん,日本におけるHCV研究の関心の高さは,HCV感染の社会的な重要性に由来することは言うまでもない.Chiron社の方法,塩基配列の情報(1989年6月ヨーロッパ特許の公開で全塩基配列の7割である約7kbの情報が流れた)を基に,日本のいくつかのグループも,日本人感染者の血清からHCVのクローニングに成功し,最近では,ウイルスの全塩基配列も決定されるに至っている.HCVは,ウイルス間で塩基配列にかなり違いが見られ,今後サブタイプに分類されることも予想される.

研究

糖尿病患者の血清CA19-9,CA-50およびSLXに対するLewis式血液型ならびに糖代謝異常の影響

村井 順一郎 , 中林 廣榮 , 黒木 哲夫 , 下條 信雄 , 中 恵一 , 奥田 清

pp.79-82

 非担癌状態のインスリン非依存型糖尿病患者で,CA19-9,CA-50およびSLXの各血中濃度を測定し,Lewis式血液型および糖尿病の血糖コントロール状態との関連について検討した.糖尿病患者のLewis式血液型の分布は,健常者のそれとほぼ同様であった.血中CA19-9, CA-50およびSLXの値は,Lea+b―型の患者群がLea-b+型ならびにLea-b―型の両群に比し有意に高値であった.Lea+b―型の患者群について,ヘモグロビンA1c(HbA1c)が10%を超える例で同値7%以下の例に比し,血中CA19-9, CA-50の値は有意に高値であった.またLea-b+型の患者群でも同様にHbA1cの高い例で,血中CA19-9, SLXの値が高値を示した.糖尿病患者では非担癌状態であってもこれら糖鎖抗原の血中濃度に,Lewis式血液型および血糖コントロール状態が関与する可能性が示唆された.

閉塞性肺疾患にみられる肺活量低下の機序に関する考察

前田 貢 , 中野 赳 , 塚本 玲三

pp.83-86

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)で,気道閉塞が高度になると,肺機能検査上,肺活量が低下し,混合性障害様パターンを示す.われわれは,拘束性肺疾患を合併しないCOPD患者74名を対象に,肺活量と一秒率,残気率,気道抵抗との相関関係を調べ,肺活量の低下をきたす気道閉塞の程度について検討を行った.その結果,一秒率が58%以下,気道抵抗が381%以上,残気率が54%以上で肺活量が低下することがわかった.

資料

成人T細胞白血病・リンパ腫(ATLL)における血清可溶性interleukin-2receptor(s-IL-2R)の測定

樅田 三郎 , 池田 柊一 , 柳迫 隆夫 , 跡上 直 , 森 弘行 , 山田 恭暉 , 上平 憲 , 朝長 万左男

pp.87-91

 ATLLにおける血清s-IL-2R濃度をELISA法により測定した.コントロール231±97,HTLV-Iキャリア236±137,pre-ATL259~1987(平均731)U/mlとなり,ATLLでは慢性型639~3239(同1621),急性型5814~160550(同70697),リンパ腫型1505~94800(同27210)U/mlであった.3症例の経過観察では末梢血のATL細胞数との連動も見られた.血清s-IL-2R値はATLLの腫瘍量を反映し,有用性の高いマーカーと考えられた.

大学附属病院臨床検査室における運動負荷心電図検査の実態(アンケート調査報告)

川久保 清

pp.92-95

 全国大学病院臨床検査技師81人に,臨床検査室における運動負荷心電図検査の実態について,アンケート調査を行った.運動負荷の方法としては,96.2%の施設でマスター2階段試験を行っていて,71.4%の施設ではトレッドミル試験を併用していた.マスター試験では,週平均48人,トレッドミルでは16人の検査を行っていた上検査の安全性の面では,医師の待機率66%などであり,十分でない施設も見られた.

学会印象記

第15回国際微生物学会議/第37回日本臨床病理学会総会

本田 武司

pp.96-97

裾野の広い微生物学研究

 「微生物学-21世紀への展望」をキャッチフレーズに微生物学関係のオリンピックともいわれる第15回国際微生物会議が9月13日から22日の間,三輪谷俊夫(大阪大学微生物病研究所教授)組織委員長の下で日本学術会議と日本微生物学協会の共同主催により大阪市内の3会場で開催された.1903年のパリに始まるこの会議は,4年ごとに開催され,第11回会議が東京で1974年に開催されて以来,日本では第2回目の開催にあたる.本会議の母体がICSUからIUMS (国際微生物学連合)に昇格したことからもわかるように,微生物学の研究分野の裾野が広がり,会議の規模も拡大して今回の参加者は60か国から計約3000名を数えた.

 会議は9月13日からの各種学術・運営委員会(いわゆるCOMCOF)で始まり,16日の盛大な開会式の後に,17日から22日の6日間にわたって学術発表が行われた.開会式当日は,応用微生物学分野で功績のあった別府輝彦(東京大学教授)氏が有馬賞受賞講演をされ,次いで,WHOの中嶋宏氏が世界の感染症の現況について,さらに,木下祝郎(協和発酵)氏が「アミノ酸発酵の過去と現在」というテーマで基調講演をされた.

質疑応答 臨床化学

アデノシンデアミナーゼ(ADA)活性値の基準値

鬼原 道夫 , 倉田 矩正 , 木澤 郁子

pp.99-100

 Q 胸水および腹水中のアデノシンデアミナーゼ活性値の基準値をお教えください.また臨床的意義も併せてご教示ください.

質疑応答 免疫血清

α-1―アンチキモトリプシンについて

津田 道雄 , 松本 雅彦 , S生

pp.100-102

 Q 最近,α-1―アンチキモトリプシンは免疫系の調節など,その生理的役割が注目されているようですが,その構造や機能などをご教示ください.

マイクロプレートを用いたELISA法について

石井 勝 , 山田 雄二

pp.102-104

 Q ポリスチレン製のマイクロプレートを用いてELISA法を行っています.ロットの異なるプレートを使用したところ,抗原がウエルに結合しませんでした.その結果発色値がほとんど出ません.この原因と対策についてご教示ください.

HTLV-1抗体陽性患者からの二次感染について

山口 一成 , 堀川 博

pp.105-106

 Q 注射針の誤穿刺や呼吸器用のカテーテルで感染することがありますか.また,リンパ球を介しての感染はあるのでしょうか.

質疑応答 微生物

食中毒性サルモネラの長期保菌者について

相楽 裕子 , H生

pp.106-108

 Q 食中毒性サルモネラの長期保菌者について以下の2つをご教示ください.(1)生体内のどこに棲息しているのでしょうか.(2)保菌しやすい人としにくい人はいるのでしょうか.

風疹ウイルス抗体価測定時の前処理について

松野 哲也 , Q生

pp.108-109

 Q 風疹ウイルス抗体価を測定するときに,PBSなどで前処理をしますが,これはどのような目的を持つのでしょうか.ご教示ください.

質疑応答 資格制度

呼吸機能検査の件数と点数の違い

森田 勇一 , 遠田 栄一 , 毛利 昌史 , Y生

pp.109-110

 Q わが病院研究検査科では現在チェスト社の呼吸機能計でSP,FVを測定し,VC曲線とFVカーブを記録しますが医事課での請求は支払い基金より削られて一件分の代金となります.この場合検査科では件数を1件とすべきか2件とすべきか苦慮します.薬物負荷を行っても点数は取れません.県内のほかの施設はどうしておられるのか聞いておりませんが,中央ではどのような見解をしておられますのでしょうか.研究部内の件数として取り上げることは不可能でしょうか.適正なアドバイスをお願いいたします.

超音波検査技術の修得について

諸井 中 , 遠田 栄一 , 福田 健司 , 島崎 久美子

pp.111-112

 Q 超音波検査を基礎から勉強したいと思っています.細胞診スクリーナー養成のような確立されたシステムがないように思いますが,どんな方法があるのか,ご教示ください.

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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今月の特集2 感染症診断に使われるバイオマーカー—その臨床的意義とは?

60巻3号(2016年3月発行)

今月の特集1 日常検査からみえる病態—心電図検査編
今月の特集2 smartに実践する検体採取

60巻2号(2016年2月発行)

今月の特集1 深く知ろう! 血栓止血検査
今月の特集2 実践に役立つ呼吸機能検査の測定手技

60巻1号(2016年1月発行)

今月の特集1 社会に貢献する臨床検査
今月の特集2 グローバル化時代の耐性菌感染症

59巻13号(2015年12月発行)

今月の特集1 移植医療を支える臨床検査
今月の特集2 検査室が育てる研修医

59巻12号(2015年11月発行)

今月の特集1 ウイルス性肝炎をまとめて学ぶ
今月の特集2 腹部超音波を極める

59巻11号(2015年10月発行)

増刊号 ひとりでも困らない! 検査当直イエローページ

59巻10号(2015年10月発行)

今月の特集1 見逃してはならない寄生虫疾患
今月の特集2 MDS/MPNを知ろう

59巻9号(2015年9月発行)

今月の特集1 乳腺の臨床を支える超音波検査
今月の特集2 臨地実習で学生に何を与えることができるか

59巻8号(2015年8月発行)

今月の特集1 臨床検査の視点から科学する老化
今月の特集2 感染症サーベイランスの実際

59巻7号(2015年7月発行)

今月の特集1 検査と臨床のコラボで理解する腫瘍マーカー
今月の特集2 血液細胞形態判読の極意

59巻6号(2015年6月発行)

今月の特集1 日常検査としての心エコー
今月の特集2 健診・人間ドックと臨床検査

59巻5号(2015年5月発行)

今月の特集1 1滴で捉える病態
今月の特集2 乳癌病理診断の進歩

59巻4号(2015年4月発行)

今月の特集1 奥の深い高尿酸血症
今月の特集2 感染制御と連携—検査部門はどのようにかかわっていくべきか

59巻3号(2015年3月発行)

今月の特集1 検査システムの更新に備える
今月の特集2 夜勤で必要な輸血の知識

59巻2号(2015年2月発行)

今月の特集1 動脈硬化症の最先端
今月の特集2 血算値判読の極意

59巻1号(2015年1月発行)

今月の特集1 採血から分析前までのエッセンス
今月の特集2 新型インフルエンザへの対応—医療機関の新たな備え

58巻13号(2014年12月発行)

今月の特集1 検査でわかる!M蛋白血症と多発性骨髄腫
今月の特集2 とても怖い心臓病ACSの診断と治療

58巻12号(2014年11月発行)

今月の特集1 甲状腺疾患診断NOW
今月の特集2 ブラックボックス化からの脱却—臨床検査の可視化

58巻11号(2014年10月発行)

増刊号 微生物検査 イエローページ

58巻10号(2014年10月発行)

今月の特集1 血液培養検査を感染症診療に役立てる
今月の特集2 尿沈渣検査の新たな付加価値

58巻9号(2014年9月発行)

今月の特集1 関節リウマチ診療の変化に対応する
今月の特集2 てんかんと臨床検査のかかわり

58巻8号(2014年8月発行)

今月の特集1 個別化医療を担う―コンパニオン診断
今月の特集2 血栓症時代の検査

58巻7号(2014年7月発行)

今月の特集1 電解質,酸塩基平衡検査を苦手にしない
今月の特集2 夏に知っておきたい細菌性胃腸炎

58巻6号(2014年6月発行)

今月の特集1 液状化検体細胞診(LBC)にはどんなメリットがあるか
今月の特集2 生理機能検査からみえる糖尿病合併症

58巻5号(2014年5月発行)

今月の特集1 最新の輸血検査
今月の特集2 改めて,精度管理を考える

58巻4号(2014年4月発行)

今月の特集1 検査室間連携が高める臨床検査の付加価値
今月の特集2 話題の感染症2014

58巻3号(2014年3月発行)

今月の特集1 検査で切り込む溶血性貧血
今月の特集2 知っておくべき睡眠呼吸障害のあれこれ

58巻2号(2014年2月発行)

今月の特集1 JSCC勧告法は磐石か?―課題と展望
今月の特集2 Ⅰ型アレルギーを究める

58巻1号(2014年1月発行)

今月の特集1 診療ガイドラインに活用される臨床検査
今月の特集2 深在性真菌症を学ぶ

57巻13号(2013年12月発行)

今月の特集1 病理組織・細胞診検査の精度管理
今月の特集2 目でみる悪性リンパ腫の骨髄病変

57巻12号(2013年11月発行)

今月の特集1 前立腺癌マーカー
今月の特集2 日常検査から見える病態―生化学検査②

57巻11号(2013年10月発行)

特集 はじめよう,検査説明

57巻10号(2013年10月発行)

今月の特集1 神経領域の生理機能検査の現状と新たな展開
今月の特集2 Clostridium difficile感染症

57巻9号(2013年9月発行)

今月の特集1 肺癌診断update
今月の特集2 日常検査から見える病態―生化学検査①

57巻8号(2013年8月発行)

今月の特集1 特定健診項目の標準化と今後の展開
今月の特集2 輸血関連副作用

57巻7号(2013年7月発行)

今月の特集1 遺伝子関連検査の標準化に向けて
今月の特集2 感染症と発癌

57巻6号(2013年6月発行)

今月の特集1 尿バイオマーカー
今月の特集2 連続モニタリング検査

57巻5号(2013年5月発行)

今月の特集1 実践EBLM―検査値を活かす
今月の特集2 ADAMTS13と臨床検査

57巻4号(2013年4月発行)

今月の特集1 次世代の微生物検査
今月の特集2 非アルコール性脂肪性肝疾患

57巻3号(2013年3月発行)

今月の特集1 分子病理診断の進歩
今月の特集2 血管炎症候群

57巻2号(2013年2月発行)

今月の主題1 血管超音波検査
今月の主題2 血液形態検査の標準化

57巻1号(2013年1月発行)

今月の主題1 臨床検査の展望
今月の主題2 ウイルス性胃腸炎

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