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特集 アレルギーと自己免疫 I.免疫機能―最近の進歩 2.免疫担当細胞の遺伝子
1)免疫グロブリン遺伝子と抗体の多様性の生成
著者: 山岸秀夫1
所属機関: 1京都大学理学部生物物理学教室
ページ範囲:P.23 - P.27
文献購入ページに移動抗体分子
多様な抗原に対応する抗体分子の実体は免疫グロブリン蛋白質であって,図6に示すように重鎖(H鎖)と軽鎖(L鎖)からなっている.C末端側は抗体クラスごとに一定した定常(C)領域である.H鎖とL鎖とは対応するC領域でS-S結合で結ばれ,H鎖同士はさらに,それぞれ対応するヒンジ(H)で3本のS-S結合で結ばれた単位構造(H2L2)を示す.マウスでは,8種の抗体クラスに分類されるが,血清中濃度の高いのはIgM,IgA,IgG (G1,G2A,G2B,G3)の6種で,IgMは5単位構造,IgAは2単位構造として機能する.IgDとIgEは,いずれも1単位構造であるが,細胞(リンパ球)表面に結合して機能する.抗体クラスの違いは,生理活性の違いに対応する.抗体クラスごとに,H鎖はそれぞれ固有のものが使用されるが, L鎖はκとλの2種を共用している.
N末端側は対応する抗原次第で異なる可変(V)領域であり,その中の高頻度変異領域(HVR)が,抗原特異性を決定するうえで重要な相補性決定領域(CDR)に対応することが明らかにされ,N末端側から数えてCDR1,CDR2,CDR3と名付けられている.図7に示すようにH鎖,L鎖ともにV領域を立体構造で示すと,いずれもN端に近い外側に並ぶ.H鎖とL鎖とは,それぞれのCDRが向き合うような型でポケットを形成し抗原を認識する.したがって抗原認識の第1の多様性は,H鎖とL鎖との組み合わせによって形成されることになる.
多様な抗原に対応する抗体分子の実体は免疫グロブリン蛋白質であって,図6に示すように重鎖(H鎖)と軽鎖(L鎖)からなっている.C末端側は抗体クラスごとに一定した定常(C)領域である.H鎖とL鎖とは対応するC領域でS-S結合で結ばれ,H鎖同士はさらに,それぞれ対応するヒンジ(H)で3本のS-S結合で結ばれた単位構造(H2L2)を示す.マウスでは,8種の抗体クラスに分類されるが,血清中濃度の高いのはIgM,IgA,IgG (G1,G2A,G2B,G3)の6種で,IgMは5単位構造,IgAは2単位構造として機能する.IgDとIgEは,いずれも1単位構造であるが,細胞(リンパ球)表面に結合して機能する.抗体クラスの違いは,生理活性の違いに対応する.抗体クラスごとに,H鎖はそれぞれ固有のものが使用されるが, L鎖はκとλの2種を共用している.
N末端側は対応する抗原次第で異なる可変(V)領域であり,その中の高頻度変異領域(HVR)が,抗原特異性を決定するうえで重要な相補性決定領域(CDR)に対応することが明らかにされ,N末端側から数えてCDR1,CDR2,CDR3と名付けられている.図7に示すようにH鎖,L鎖ともにV領域を立体構造で示すと,いずれもN端に近い外側に並ぶ.H鎖とL鎖とは,それぞれのCDRが向き合うような型でポケットを形成し抗原を認識する.したがって抗原認識の第1の多様性は,H鎖とL鎖との組み合わせによって形成されることになる.
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